ヤクルト・村上、イッキ2発バース超え54号 王に並んだ55号! 最年少22歳7カ月
「ヤクルト7-9巨人」(13日、神宮球場)
ヤクルトの村上宗隆内野手(22)が神宮球場で行われた巨人24回戦で、1964年の王貞治(巨人)に並ぶ日本選手シーズン最多の55号本塁打を放った。四回の54号ソロに続き、九回に左中間に3ランを放った。55号到達は史上5人目。22歳7カ月での達成は64年・王の24歳4カ月の最年少記録を更新。1試合複数本塁打は今季12度目となり、年間最多記録を上回った。2013年にバレンティン(ヤクルト)がつくった60本の最多記録へ、残り15試合で挑む。
歴史を変えた1球が、本拠地のライトに照らされる。村上が描いた特大アーチは、日本選手最多タイの55号3ラン。「丈夫な体に生んでくれた両親に、支えてくれる周りの方々にしっかり感謝したい」。鮮やかに傘が揺れる。世界の王貞治に並んだ。美しい放物線を描きながら、主砲はゆっくりと歩き出した。
5点を追う九回だ。仲間がつないで2死一、二塁で回ってきた打席。村上はバットを強く握った。その2球目。外角の直球を捉えると、打球は左中間席へ一直線に伸びた。手に残った確かな感触。背番号と同じ「55」本目のアーチは、歴史を変える瞬間へと導いた。
この日は四回にも巨人・菅野から54号ソロを放ち、1試合で“マルチ本塁打”を記録。瞬く間に本塁打を量産し、いちるの不安を一掃した。12日のDeNA戦で、エスコバーの155キロを右太ももに受け、直後の守備から交代。大きなアザを作って迎えたこの日は、高津監督に直訴。まさに志願の出場だった。
「試合には出ます。動ける範囲なので大丈夫です!!」
ルーキー時代の18年春。宮崎・西都で野村克也氏と対面し、「王の記録(55本)なんか破っちゃえ、とりあえず俺の記録(52本)を破れ」とエールを送られた。あれから4年。毎年確かな成長曲線を描きながら、成し遂げた大偉業。村上は静かに言葉を紡いだ。
「あの一瞬しか関わりはないですけど、声をかけてくれて、僕の可能性に期待してくれたところに感謝しています。今は何でそういうふうに言ったのか、聞きたい気持ちでいっぱいですね」
常に前を向く力が武器だ。どんなに不振でも、「悩むんじゃなくて、僕は考えますね」。今季からティー打撃は置きティーに変更。日によっては短い距離を繰り返しダッシュするなど、試行錯誤の努力を惜しまない。「野球と向き合いましたね。その成果として、こうしてホームランが打てているので」。そっと胸を張る。確かな音を立てた新しい伝説。自らの手で、村上は球史に名を刻んだ。
◆村上 宗隆(むらかみ・むねたか)2000年2月2日生まれ、22歳。熊本県出身。188センチ、97キロ。右投げ左打ち。内野手。背番号55。今季推定年俸2億2000万円。九州学院から17年度ドラフト1位入団。プロ1年目の18年9月16日・広島戦(神宮)でプロ初出場初先発(6番・三塁)初打席初本塁打。最高出塁率(20年)、本塁打王(21年)、新人王(19年)、最優秀選手(21年)、ベストナイン(20、21年)。