谷佳知氏 現役生活終えた福留に惜別の思い 唸らされた「勝負強さ」と「選球眼の良さ」

 「中日3-9巨人」(23日、バンテリンドーム)

 今季限りで現役を引退する中日・福留孝介外野手(45)の引退セレモニーが試合後に行われた。巨人、オリックスで活躍し、1996年アトランタ五輪、2004年アテネ五輪では日本代表としてともにプレーしたデイリースポーツ評論家・谷佳知氏(49)が、24年間の現役生活を終えたバットマンに惜別の言葉を送った。

  ◇  ◇

 大舞台に強い。勝負どころで打つ。

 初めて一緒にプレーしたのはアトランタ五輪に臨む日本代表だったが、当時からその印象は変わらない。

 7球団競合の末に交渉権を獲得した近鉄への入団を拒否し、PL学園から日本生命入りした福留は、当時19歳。日本代表ではもちろん最年少だったが、物おじしないし、高卒1年目とは思えなかった。

 アトランタ五輪で福留は「9番・三塁」、社会人2年目だった私は「3番・左翼」での出場が多かった。1次リーグのキューバ戦で本塁打を放ち、3連敗して絶対に負けられなかったニカラグア戦でも3打点。当時のアマチュア野球界にとって最大、最高の舞台で、先輩たちに気後れすることなく、堂々とプレーする姿は同じチームメートとして頼もしかった。

 オールプロで臨んだアテネ五輪でも一緒に日の丸を背負った。福留は「1番・右翼」、私は「6番・左翼」で主に出場。1次リーグの豪州戦で一時逆転となる3ランを放つなど、相変わらずの勝負強さで打線を引っ張ってくれた。

 2006年のWBCの準決勝・韓国戦での代打2ランは最たるもので、とにかくここ一番で周囲の期待に応えてくれるバッターだった。

 技術面では、とにかくボール球を振らない。個人的には選球眼の良さが一番の魅力なのかな、とも感じている。

 バットコントロールのうまさ、抜群のスイングスピード、長打力に配球の読み。すべてが一級品だが、それらを支える選球眼がずば抜けていた印象だ。際どいコースをしっかりと見極めてくるし、低めの変化球にもバットが止まる。右打ちだった私とは左右の違いがあるが、あの選球眼の良さには何度も唸らされた。

 NPB通算1009四球は歴代16位で、日米通算1316四球は歴代6位に相当すると聞いた。投手からすれば、あれだけボール球を振ってこないとストライクゾーンで勝負せざるを得なくなる。打者の理想的な姿を見事なまでに体現していた。

 打撃だけではなく、外野守備も、走塁も超一流。MLBでもプレーしているし、国際試合も数多く戦ってきた。磨き上げてきた技術、積み上げてきた経験を今度は指導者として、是非とも後輩たちに伝えていってほしい。24年間、本当にお疲れさまでした。

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