オリックス連覇へ山本由伸で首位0差追走 〝投手4冠〟よりも優勝で「能見さん泣かせたい」
「楽天1-9オリックス」(24日、楽天生命パーク宮城)
オリックス・山本由伸投手(24)が、楽天戦(楽天生命)に先発して7回2安打無失点で今季15勝目を挙げた。球団史上初となる2年連続でのクライマックス・シリーズ(CS)進出を決め、首位・ソフトバンクをゲーム差なしで追走。「投手4冠」も確実視されるエースの快投が、逆転でのリーグ連覇へ向けた残り3試合に大きな勢いをもたらした。
試合前から降りしきる雨の中でも、〝絶対エース〟が揺らぐことはない。「とにかく勝つことだけを考えて(マウンドへ)上がった」と山本。その研ぎ澄まされた集中力が、悪条件をはね返す快投を生み出した。
初回に2点の援護を受けると、立ち上がりから危なげない投球を展開。二回1死から鈴木大に初安打を許すが、続く岡島をフォークで二ゴロ併殺打に仕留めた。五回まで毎回走者を背負う投球。だが、相手に二塁を踏ませず、楽天に得点への流れを与えなかった。
雨のマウンドにも「結構良かったですよ、マウンド。キーパーさんがスゴかった。ビックリした」と敵地のグラウンドキーパーへ感謝を述べる余裕も。安定感を支えるのは、その対応力だ。
「この球場、ちょっとマウンドが京セラとは違うので。自分の中での注意するポイントや、いつも監督に言われていることを整理して試合に入れた」
7月16日の同球場の登板では、6回4失点で黒星。だが「景色的にはちょっと低く見える。それをしっかり整理したので、結果にマッチした」と球場の特徴を加味した微調整を、登板の中でも施していた。
その7月の敗戦以降は自身6連勝。勝利数、防御率、奪三振数、勝率でリーグトップと、2年連続での「投手4冠」獲得も現実味を帯びる。ただ、手にしたいのはリーグ連覇、そして昨年は果たせなかった日本一だ。
そして恩返しも-。今季限りで引退を表明した能見投手兼任コーチ。投手陣の精神的支柱だった能見を最高の舞台で胴上げし、涙させるのも目標だ。
「能見さんを最後、優勝して泣かせたいんで。最高のシーズンを野球人生の最後にしてほしい」。レギュラーシーズン最終登板を見据え、この日は86球で降板。さまざまな思いを背負い、頂点を懸けた最後の戦いへ備える。