「現役ドラフト」は選手の利となるのか 現状では不透明、新制度が抱える課題とは
日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会の事務折衝が7日、オンライン形式で行われ、出場機会に恵まれない選手救済の「現役ドラフト」を今オフから導入し、今季は12月9日に実施することで最終合意した。ようやくスタートを迎える新制度で、球界はどう変わるのか。担当記者が解説した。
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多くの課題を抱えながら「現役ドラフト」の実施が決まった。率直に言えば制度スタートを優先させ、選手の利になるかは不透明という印象を受ける。
実現目前の20年は8月実施が計画されていた。このタイミングでは戦力外通告の前倒しの選手選出となる懸念もあったが、保留者名簿から2人以上の選手がドラフトに選出されることで、一応は球団が戦力と考える選手の入れ替え実現となる枠組みとはなっている。
だが選手会・森事務局長が「どういう選手がリストアップされるかが大事」と話すように、真に選手の救済となる制度かは、ふたを開けてみないと分からないのが実情だ。
最も重要なのは選出候補に入りながら移籍がかなわなかった選手への配慮だろう。本人に候補入りを通達するかどうかは球団の任意だが、言葉一つたがえばモチベーションの低下につながる。逆に通達しないならば、徹底した秘密保持が不可欠だ。
もちろん新天地で活躍の可能性を得る選手は出るが、その裏で不利益を被る選手を多く生み出しては選手、球団の双方に利は無い。生じた課題は早急に是正し、多くの選手を救う制度へ成熟することを願いたい。(デイリースポーツ・NPB担当・中田康博)