オリックス・中川圭がサヨナラCS突破決めた 「決めてくれ」中嶋監督に最高の恩返し
「パCSファイナルS・第4戦、オリックス3-2ソフトバンク」(15日、京セラドーム大阪)
「2022 パーソル クライマックスシリーズ パ」のファイナルS第4戦は、オリックスがサヨナラ勝ちでソフトバンクを下し、アドバンテージを含めて4勝1敗とし、日本シリーズ進出を決めた。同点の九回に中川圭太内野手(26)が左前へ試合を決める一打を放った。日本シリーズは2年連続でヤクルトと対戦し、1996年以来26年ぶりの日本一を目指す。
後押しする拍手の音が1球ごとに大きくなる。ベンチで両手を合わせて祈るナイン。中川圭は最大限に集中力を研ぎ澄ませた。詰まりながらも打球が三遊間を抜ける。「めちゃくちゃうれしかったです」。割れんばかりの歓声に包まれ、右手を突き上げた。
同点の九回。守護神のモイネロから2死二、三塁の好機を作った。「足が野球人生で一番震えていた」。カウント2-2から146キロのスライダーに食らいつき、左前へ自身初のサヨナラ打。中嶋監督の「決めてくれ」という思いが届いた。
歓喜のウオーターシャワーを浴びる。「よっしゃ!」。目を赤くしながら何度も叫び、ベンチ前で待つ中嶋監督に飛びついた。抱き合い、背中をたたかれ、言葉を交わす。“無敵の中川”と称され、期待し続けてくれた指揮官に最高の恩返しを果たした。
中川圭にとって激動の1年だった。5月からスタメンを勝ち取り、4番も任された。キャリア初の規定打席にも到達。そんな中、9月には東洋大の恩師である高橋昭雄氏が他界した。訃報を聞いた直後の8日・西武戦で2本塁打。この日もナインから激しい祝福をされる中、天に向かって両手を突き上げた。
昨季はチームに貢献できず。リーグ優勝やポストシーズンはテレビ画面越しに見届けた。「去年は実力不足で貢献できなかった」と強い覚悟で臨んだ今季。日本シリーズ進出を自らのバットでたぐり寄せた。
昨季は届かなかった日本一へ。ヤクルトにリベンジを果たす舞台にたどり着いた。「やり返したい。チャンピオンチームにもう一回チャレンジしたい」と中嶋監督。「全員で勝つ」を合言葉に、忘れ物を取りに行く。