近大工3季連続54度目V プロ注目の石伊無安打もチーム鼓舞 ドラフト前に大きな勲章
「広島六大学野球、近大工学部6-3広島経済大」(16日、Balcom BMW 広島総合グランド)
近大工がリーグ戦1試合(22日、広修大-広島大)を残し、3季連続54度目の優勝を決めた。勝ち点3で並ぶ広経大との直接対決に連勝し、勝ち点を獲得したため。プロ志望届を提出した石伊雄太捕手(4年)は「4番・指名打者」で出場。無安打ながらチームを鼓舞して、20日のドラフト会議を前に有終の美を飾った。チームは明治神宮野球大会(11月18日開幕)への出場を懸け、29日に行われる中国四国代表決定戦に臨む。
一瞬の静寂の後、グラウンドに歓喜の輪が広がる。石伊はベンチを飛び出すと、一目散にマウンドへ駆け寄った。負けられない最終週の戦いで見事に15、16日と連勝。仲間全員でつかんだ3季連続優勝に「連覇は難しいと言われるけど、その通り。受けて立つのではなく、チャレンジャー精神を忘れずにやってきた」と喜びをかみしめながら胸を張った。
コンディション不良の影響で「4番・指名打者」でフル出場。いつもは扇の要としてチームをまとめるが、この日はベンチから仲間の背中を押した。勝負どころで声を張り上げ、ピンチを脱した味方投手にはすぐさま駆け寄る。「少しでも力になろうと思って。(ベンチにいる)1年生も含めて頑張ってくれた」と振り返った。
初回に2点を先制される劣勢も、二回に2点を返して同点。五回に主将の杉本涼内野手(4年)が中越えにソロを放ち、そのまま主導権を握った。自身は4打数無安打だったが、チームメートが必死にカバーしてくれた。
プロ志望届は提出済みで、20日のドラフト会議での指名を待つ。徐々に実力を付けて周囲から注目される存在になった。練習の質と量にこだわり、一つ一つ積み上げてきた。「『自分が頑張らないと』と。見られている頻度が多くなり、意識も変わってきた」。もっと上のレベルで輝く。その思いを力に変え、ここまで歩んできた。ドラフト当日は「初めてなので緊張すると思う」と苦笑い。学生最後のリーグ戦で手にした大きな勲章を携え、運命の一日を迎える。
◆石伊 雄太(いしい・ゆうた)2000年8月18日生まれ、22歳。三重県尾鷲市出身。178センチ、83キロ。右投げ右打ち、捕手。尾鷲中では伊勢ボーイズに所属。近大高専を経て近大工に入学。1年秋、3年秋、4年春にベストナインに選出され、3年秋は最優秀選手賞にも輝いた。遠投115メートル。