ヤクルト王手目前で激痛タイ敗 マクガフがシリーズ史上初の悪夢、救援で通算3敗目
「日本シリーズ・第5戦、オリックス6-4ヤクルト」(27日、京セラドーム大阪)
目を背けたくなる光景を、ヤクルト・高津臣吾監督(53)は必死に受け止めようとしていた。懸命につないできた勝利へのバトンは、守護神の手から滑り落ちる。「先頭の四球が痛かったですね」。同点の適時失策と痛恨のサヨナラ被弾。あと1死が遠く、奪えなかった。
目先の勝利だけを目指す短期決戦だ。ひっくり返されても、再度ひっくり返した。点差は1点。高津監督は「今できる最善策を取った」と、今季1度もなかった清水の回またぎを決断。七、八回を無安打に封じ込め、最後のマクガフまでつないだが、悪夢は九回に待っていた。
試合後の高津監督が開口一番に振り返った、先頭打者への四球。ここから暗雲は少しずつ立ちこめる。犠打で送られ、2番・西野の打球はマクガフのグラブをはじいた。慌てて投じた一塁への送球が、悪送球となる間に同点を許した。守乱での同点劇。「取れるアウトは取らないといけないですね」と、指揮官も落胆の色を隠せなかった。
その後1死一塁で、中川圭を空振り三振に打ち取ると、2死となって相手の主砲・吉田正と対峙(たいじ)。その2球目だった。高めに浮いた変化球を振り抜かれると、歓喜に沸くオリックスナインの裏で、マクガフは顔を上げることなくマウンドを後にした。
昨季の日本シリーズと合わせて、これでシリーズ3敗目。リリーフでの通算3敗目は、シリーズ史上初の悪夢だ。やられっぱなしでは終われない。「全力で戦いたい」とは指揮官。神宮に場所を移し、苦しんだ分だけ最後に笑いたい。
◆2勝2敗1分けの五分からは… 勝敗成績が2勝2敗(1分け)となったケースは過去に27例。その内、2勝先行した後に連敗した○○●●は日本一が7度あり、一方で●●○○からの日本一は6度ある。また、今回と同様に第5戦終了時で2勝2敗1分けのケースは62年で阪神と東映が対決したシリーズ。この時は東映が●●△○○○○の逆転日本一だった。