【岡義朗氏の眼】犠打で流れ渡さなかったオリックス

 「日本シリーズ・第6戦、ヤクルト0-3オリックス」(29日、神宮球場)

 「SMBC日本シリーズ2022」第6戦が神宮球場で行われ、オリックスが接戦を制して通算成績を3勝2敗1分けとし、1996年以来26年ぶりの日本一へ王手をかけた。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は、ゲームを分けたポイントは「犠打」にあると分析した。

  ◇  ◇

 両チームとも投手陣が好投した中で、ゲームを分けたポイントは「犠打」にあると見る。オリックスは三回の山崎福、六回の宗、九回の紅林と3度のバントシチュエーションをきっちり成功させ、うち2度が得点へと結びついた。

 犠打というのは一見、非常に地味なプレーではあるものの、こういう緊迫した展開、そして日本シリーズなどの短期決戦では流れを変えやすい。バントはベンチが確実に走者を進めたい時に用いる戦術。ここできっちり走者を進められないと、チームのメンタル面にマイナスの要素が生まれる。逆に相手はプラスに捉えるだろう。

 野球は技術だけでなくメンタルのスポーツとも言えるだけに、作戦の成否が及ぼす影響は大きい。特にミスなどで走者が停滞してしまう、先の塁に進めないとなれば、たとえリードしていても相手に付け入る隙を与えてしまうことになる。

 だから3度のバント成功は非常に大きな意味を持ち、ヤクルトに流れを渡さなかった要因と言えるだろう。終始、自分たちのペースで試合を運べたことが完封勝利につながった。逆にヤクルトは九回に起用したマクガフが2失点。第7戦へ不安材料を残す形になってしまった。

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