佐藤義則氏がオリ日本一を祝福 来季の最重要課題は「長打を打てる外国人野手の補強」
オリックスの26年ぶりの日本一で幕を閉じた今年の日本シリーズ。OBでデイリースポーツ評論家・佐藤義則氏(68)がシリーズを総括するとともに、リーグ3連覇&2年連続日本一を目指す来季へ向けて「長打を打てる外国人野手」の補強を最重要課題に挙げた。
◇ ◇
前回日本一になったのは、私がまだ現役だった1996年。巨人との戦いを制して頂点に立った。あれから25年も遠ざかっていたんだね。その間には最下位に低迷する苦しい時期もあったけど、こうやってまた日本一になったことは、OBとして本当にうれしいし、中嶋監督をはじめスタッフ、選手に大きな拍手を送りたい。
今シリーズは初戦にエース山本が負傷で途中降板というアクシデントから始まり、そこから2敗1分けとなったけど、ヤクルト打線は決して調子がいいようには見えなかったので、まだまだ巻き返せるとは思っていた。第4戦で宇田川、山崎颯がともにイニングまたぎの好投で勝利をつかむと、第5戦は吉田正のサヨナラ2ラン。第6戦は5投手による完封リレー。優勝を決めた試合も先発の宮城が中4日で力投した。
そういう意味では選手全員が、それぞれの役目をしっかりと果たした「全員の勝利」といえる。MVPは2試合に決勝打を放った杉本が受賞したけど、個人的には救援陣にあげたかった。宇田川、山崎颯だけでなく比嘉や阿部、ワゲスパックもみんな、いい投球を見せた。私が投手だったから言うわけではないが、こういう短期決戦は、活躍した打者の方が強く印象に残りやすい。先発投手なら完投したり2勝ぐらい挙げないとMVPの候補に上がらないし、短いイニングしか投げない救援投手だと、なおさらヒーローにはなりにくい。これまでも投手のMVPというのは少ないんじゃないかな。
来季の補強ポイントも見えた。今シリーズでは外国人野手が一人も出場しなかった。シーズン中も目立った活躍ができなかったからメンバー登録から外れたわけだが、逆にいえば、助っ人野手不在でよく日本一になったと思う。ただ、来季リーグ3連覇と連続日本一を目指す上では、やはり長打を打てる外国人はほしい。吉田正がメジャー移籍を希望し、来年どうなるか分からないとなれば、なおさら補強は不可欠だ。
特に本塁打というのはひと振りで複数得点が入るし、負けている展開でも一気に流れを変える力がある。今シリーズでいえば、オスナのような活躍が期待できる選手だ。長距離砲には杉本もいるけど安定感という部分では物足りない。理想をいえば、打率2割8分以上、本塁打も20本以上打てる外国人をもう1人か2人ほしい。
ここ数年、オリックスの助っ人野手はなかなか活躍できていない。投手陣は先発も救援陣もそろっているだけに、来季も課題は打つ方になってくる。今オフはフロント陣に頑張ってもらって、ぜひ頼りになる助っ人を連れてきてほしい。