日本ハム・ドラ3加藤豪将 異例手紙持参で入団会見 用紙2枚びっしり思い「つたないレター」
日本ハムにドラフト3位で指名された加藤豪将内野手(28)が4日、都内で会見を行った。背番号は3に決定。米国出身で、13年に現地のドラフトでヤンキース入りし、今季はブルージェイズで初のメジャー昇格も果たした逆輸入選手は、入団会見に先立って、異例ともいえるドラフト指名からの心の動きを記した手紙を報道陣に配布。用紙2枚に及ぶ文面には、ドラフトを受けてからの迷い、葛藤、そして日本ハムへの思い、そして決断に至った理由などがつづられていた。
加藤の手紙全文は次のとおり。
「2022年10月20日、その日もカリフォルニアの自宅でいつもの朝を迎えた。
目覚ましで起き、その日のスケジュールを携帯でチェック。携帯にたくさんの通知がある事に気づいたのは、その時だった。
北海道日本ハムファイターズが自分をドラフト指名してくれていた。しかも3位で。ベッドから飛び起きた。こんなに光栄なことはない。
しかし、メッツと契約中の自分にとって、その全く新しい生活をスタートさせる大きな決断をするには時間と勇気が必要だった。
自問自答の日々が続いた。
◇なぜ自分は野球をするのか?
6歳でイチローさんの野球に出会ってから、自分の夢はメジャーリーガーになることだった。そしてあれから21年後、2022年4月9日、ついにメジャーデビューをすることができた。しかし、なぜか
夢がかなったという喜びが少しもなかった。翌日、私の頭に一つの言葉が横切った。
『The man who loves walking will walk further than the man who loves the destination(歩くことが好きな人は、ゴールを目指している人よりも遠くに歩ける)』
そのときピンときた。メジャーリーガーになることに喜びは無く、そのために毎日毎日、自分を高めるために夢中になるプロセスに喜びを感じていたのだ。自分が野球をやる意味はそこにあった。
メジャーリーグを目指してのプロ9年を含め21年間、毎日、昨日より上手くなるために、すべてのことにトライしてきた。特にプロになってからは、チームのスタッフからたくさんのサポートをもらい、自分の体を分析し、必要なテクノロジーをすべて使い、できる限りのことをしてきた。その中で自分は日本人というものをさらに強く意識することになる。アメリカ人のスタッフから『君の体は特別』といわれた自分の肉体のタイプは、日本人の体を理解しているコーチやセオリーに合うのではないか?と考え始めるようになっていた。
私はまだまだ学び続けたい。この道を歩き続けたい。10月20日のドラフト会議以来、自分に問えば問うほど、日本で学んでさらに自分を高めたいと思うようになった。
ファイターズのコーチスタッフから何か大事なことが学べると信じられたことで、それが自分の歩き続ける道だと強く思うようになった。
◇北海道日本ハムファイターズとの関わり
自分は幼少期からファイターズの試合をいつも見ていた。
特に、2006年の優勝は忘れられない。多くのファイターズファンがそうであるように、私も当時のヒルマン監督(ヤンキース、マーリンズに所属していた時にお世話になった)、日本シリーズMVPだった稲葉篤紀選手(現GM)、華麗なプレーで感動を与えてくれた新庄剛志選手(現監督)を鮮明に覚えている。新庄選手は、メッツでのデビュー戦で一塁から二塁にタッチアップしたそのガッツと緻密さにも非常に感動し尊敬した。そのプレーは今でも鮮明に覚えている。
また、熱闘甲子園で大好きだった栗山英樹監督になってからもファイターズの試合を追い続けた。
その北海道日本ハムファイターズが自分をドラフトで指名してくれた。その喜びと驚きは言葉では表せない。この自分の中にあるわくわくする感覚は明らかだった。
◇日本人としての自覚と感謝
マイナー生活の間、いろいろな日本の球団関係者、マスコミの方々、日本人のファンの方々が、田舎のマイナーの球場まで足を運んで、応援の言葉をくださった。時には、カップうどん、おにぎり、おもち、日本のお菓子など差し入れてくれる方々もいた。食べ物があまりない時だったので、本当にうれしかった。アジア人の観客もいないような田舎町で、自分が日本人を強く自覚する瞬間だった。今でも大変感謝している。自問自答を繰り返す中で、自分が日本人だということ、日本の野球に触れてみたいという思いがある事に気づいた。
勝つためにチームに貢献できる選手になりたい。
このような考えがあり、来シーズン、北海道日本ハムファイターズの一員としてがんばる決意をいたしました。
最後になりますが、遠くまで応援に来てくださったマスコミの方々、野球関係者の方々、日本人のファンの皆様、本当にありがとうございました。自分の気持ちが日本に向かった事を皆様にお伝えしたく、このようなつたないレターを送らせていただきます。
これからもよろしくお願いします。」