涌井⇔阿部 主力同士衝撃トレード 右打ち野手手薄の楽天と先発投手陣整備の中日
楽天・涌井秀章投手(36)と中日・阿部寿樹内野手(32)の交換トレードが成立し、15日、両球団から発表された。右打ちの野手を手薄としている楽天と野手の若返り、先発投手陣の整備を推し進めたい中日の思惑が一致した。阿部の獲得について、楽天・石井一久GM兼監督(49)は「本当に心強い打者。複ポジション守れるというのはチームとして戦いやすい」と喜んだ。
驚きのトレードが敢行された。通算154勝を誇る涌井とチームの中軸を担う阿部。成立までの経緯について石井監督は「中日さんからお話をいただいて、涌井とトレードしてもらえないかと。その中で阿部選手の話が出た」と明かした。
チームの補強ポイントに合致した。阿部は今季133試合の出場で、打率・270、9本塁打、57打点。中でも指揮官はセ・リーグ4位となる31本の二塁打を評価。浅村と捕手以外は、基本左打者が並ぶ打線にアクセントを加えてくれることに期待している。
また守備でも本職の二塁だけでなく、三塁や外野も守ることができる。「外野も積極的に考えています」と語り「いろいろシャッフルしながら、ラインアップが組める」と来季の構想を膨らませた。
“戦友”もすっきりした形で送り出す。中日から打診を受け、石井監督はすぐに涌井に伝えた。そして「お互いの話し合いの中で本人が了承した」と双方納得の上で今回の決断に至ったという。
現役時代から縁の深い涌井を放出することとなり「寂しい気持ちはあります」と心境を吐露。ただ「彼なら大丈夫だと思う。精神的に弱いところもない」とこれまで3球団で最多勝を獲得してきた、経験豊富な右腕に全く心配はしていない。涌井も「パ・リーグで18年。東北の皆さんの温かい声援は味方になってなお温かく感じた。日本シリーズで対戦できるように頑張る」とコメントした。
「トレードって後ろ向きな報道が多いですけど、環境が変わるというのはすごく大事な部分」と指揮官。チームのバランスを考えながら来季に向けて着々と戦力を整えていく。
◆阿部 寿樹(あべ・としき)1989年12月3日生まれ、32歳。岩手県出身。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。内野手。一関一から明大、ホンダを経て15年度ドラフト5位指名で中日入団。1年目の16年8月11日・ヤクルト戦(ナゴヤドーム)で代走で初出場。22年はキャリアハイの131安打。
◆涌井 秀章(わくい・ひであき)1986年6月21日生まれ、36歳。千葉県出身。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。投手。今季推定年俸1億1000万円。横浜から2004年度ドラフト1巡目で西武入団。プロ1年目の05年3月29日・日本ハム戦(札幌ドーム)で初登板初先発(敗戦)。14年にFAでロッテ移籍。20年から楽天。最多勝4回、沢村賞1回、ゴールデングラブ賞4回。08年北京五輪、09・13年WBC日本代表。