何が問題?【解説】大阪桐蔭監督も困惑「やめようと言いました」声出し指摘は大学野球でも
「明治神宮大会・高校の部・2回戦、大阪桐蔭12-2クラーク」(20日、神宮球場)
大阪桐蔭が試合中に敵将から異例の指摘を受けた。
場面は大阪桐蔭が攻撃する二回。クラーク(北海道)の佐々木監督が三塁側の大阪桐蔭ベンチへ向けて「いつまで声を出しているんだよ。ピッチャーが投げているのに」と声を荒らげて指摘した。
試合後、西谷監督は「僕の認識では『逃げた』とか何かを誘発することは言ったらだめだと思っていたんですけど。新チームで一生懸命声を出しているだけだったので」と困惑。ただ、「セットに入ったらしゃべるのをやめようと言いました」とすぐに指摘を受け入れ、投球動作に入った際は声を出すのを控えたことを明かした。
野球ではベンチから自軍の選手へのさまざまな声かけ、相手を揺さぶるような声出しも行われるのが通例。一方で投手が投球動作に入った場合、走者が走った際に使われる「逃げた」などの声によりボークが誘発される可能性があるため、一般的には控えることがマナーとして浸透している。
今回、クラークの佐々木監督はこの“マナー違反”を訴えたものとみられる。高校野球では審判が注意するケースはあっても、相手ベンチへ監督が直接“抗議”することは超異例と言える。
似たようなケースでは20年10月4日、東京六大学野球の試合で早大の攻撃中に法大が抗議。法大投手の投球モーション中に早大の三塁ベースコーチ付近から「タイム」の声が聞こえたとして、相手の動揺を狙ったのではないかと法大監督が不快感を示すケースがあった。
この日、実際にどのような声がけが行われたかは明らかにはされていないが、佐々木監督は「ピッチャーが投げようとしているのに、『ワーワー』いっているのは野球じゃない。何でも言えるもん。(大阪)桐蔭さんみたいなチームは紳士的にやらないとダメだっていうことだよ」と話した。
声出しについてルール上の明確な規定はないが、過去には相手のサインを盗んで声の種類で伝達を行っていたこともあった。公認野球規則6・04では競技中のプレーヤーの禁止事項として「(1)言葉、サインを用いて、観衆を騒ぎたたせるようにあおったり、あろうとすること。(3)ボールインプレイのときに“タイム”と叫ぶか、他の言葉または動作で投手にボークを行わせようと企てること」などが、記されている。