中日のチーム改革 阿部、京田の放出は自然な流れ?高代氏「いずれ入れ替わる選手」
中日がこの秋、楽天・涌井秀章投手(36)と阿部寿樹内野手(32)、DeNA・砂田毅樹投手(27)と京田陽太内野手(28)の2件のトレードを成立させた。得点力不足に苦しむチームが主力野手を放出して投手を補強。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は、一見矛盾するこのトレードを肯定的に受け止めた。
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オフに入り、続けざまに行った2つのトレードに“チームをゴロっと変えよう”という立浪監督の強い意思を感じたね。
ただし、大きな驚きはなかった。なぜなら阿部も京田も遅かれ早かれ若手と入れ替わる。それをこの1年で見極め、早めに決断したということに過ぎないからだ。
阿部は今シーズン、中軸打者としてチームに貢献したレギュラー選手であり、内部事情だけを考えると必要な選手だろう。ただ、守備範囲の狭さやスピードのなさ、本塁打の少なさなど、今後への期待感で言うと物足りなさは残る。
(阿部の今季の成績は133試合、486打数131安打、9本塁打、57打点、打率・270)
京田は凡ミスが多かったし、悪送球の不安がついて回った。打撃面でもアベレージが低く出塁率も高くない。年々成績が下がってきており、特に今年は土田にポジションを奪われ精彩を欠いた。
(京田の今季の成績は43試合、128打数22安打、3本塁打、打率・172)
立浪監督は1年間、チームを見てきて大きな改革が必要だと感じたのだろう。こういったレベルの選手がレギュラーでは永遠に優勝できないと。
現状維持では浮上できない。勝つためには見切りをつけることも必要。その時がきたと判断し、一気に変えようとしている。
この“大なた”に衝撃や刺激を受けた選手はいるはずだ。高橋周平もうかうかしていられないと感じたのではないか。
一方で、この空いた内野の穴を埋める選手はいるのか。問題はそこだが、新人も含めて若い選手を育てていく腹づもりなのだろう。つまり将来性を信じ、若手を選択したということだ。
左ひざのケガに泣かされた石川が復帰すれば戦力になるのは間違いない。彼は三塁というイメージがあるが、あのハンドリングのよさを見ると、個人的にはショートもできると思っている。土田を二塁へ回し、この2人で二遊間を組んでも面白いのではないか。
しかし、一朝一夕にはいかないもの。根気がいるだろうね。数年前までは“若手の宝庫”と思っていた中日野手陣だけど、順調に成長しているのは岡林ぐらいだから。伸び悩んでいる選手が多いね。
なにしろ最大のウイークポイントが攻撃力の乏しさで、今季の総得点414はリーグ最少。1試合平均が3点を切るようでは勝つのは難しいですよ。
とは言うものの、私が感心したのはトレードで獲得した選手が、いずれも投手であるという点。中日の投手陣は比較的安定しているが、先発の枚数は少し不足している。まずはそこを整備しようというのは理解できる。
あくまでもディフェンス面の強化をチーム作りの軸に置いているのが分かる。今後、新外国人も含めた打者の補強はあるのか。改革を進める立浪中日の新たな動きに注目していきたいね。