巨人にデーブ氏導入の15項目の打撃練習は浸透したのか 

話し合う原監督(左)と大久保打撃チーフコーチ(右)
15項目の打撃練習を行う選手たち。右は大久保打撃チーフコーチ
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 盟主復活の“きっかけ”になるかもしれない-。2年連続でV逸し、5年ぶりのBクラスとなる4位に沈んだ巨人。打線がつながりを欠いたことが敗因の一つだったが、新任の大久保博元1軍打撃チーフコーチ(55)が、異色の“15項目の打撃練習”を導入した。デイリースポーツ担当記者が、その狙いや選手への浸透度に迫った。

 巨人の練習風景がガラッと変わった。20日に打ち上げた宮崎秋季キャンプ。若手選手たちは朝6時半スタートのアーリーワークで打撃マシンを相手に黙々と練習を行った。ただし、気持ちよくフルスイングしているわけではなかった。バットを寝かせたり、進塁打や犠飛を狙ったり。明確な目的を持って練習に励んでいた。

 大久保新打撃チーフコーチが導入した“15項目の打撃練習”だ。走者などの状況にも応じた複数のバント練習。相手投手に多くの球数を投げさせるためのファウル打ち、ヒット狙いのバスターなど内容は多岐にわたる。

 紙に記された項目はホームベース上などに置かれ、1度でも失敗すると最初からやり直しのルール。トライした2年目の秋広は「試合と同じ感情、プレッシャーを味わえる」とうなずく。大久保コーチも「失敗しなきゃ感覚も出てこない。感覚を養っている」と説明する。

 当然、試合で成功させるための特訓だ。今季チームの73犠打と15犠飛はいずれも12球団ワースト。二つを合わせた数字は「88」で、100未満は巨人だけだった。つながりを欠いた打線にチーム打撃を徹底させる“メス”を入れた形。例えば苦手な投手が相手でもバントやバスターで攻略の糸口をつかむことは可能で、大久保コーチは「いいピッチャーも足を使ってバタバタ動かす。(試合の)後半に効いてくる」と力説した。

 練習で技術を高めることはもちろんだが、大久保コーチは「意識は大事なんですよ」と言う。「簡単に言うと、レモンをイメージでかじると唾液が出てくるじゃないですか。でかいんですよ意識は。意識で反応するようになる。意識しないとダメ、強く」。今は、その意識を植え付けているところだ。

 選手たちにも徐々に浸透している。4年目の増田陸は「ヒットを打つことだけじゃなくてランナーを進めたり、そういうのが点にもつながりますし。ヒットを打つのは難しいですけど、ランナーを送るとかは意識したら、3割以上は絶対にできるので」と語る。秋広も「試合でいざサインが出ても、(練習を)やっていることによって同じ緊張感で、できると思う」と口にする。

 秋季練習&キャンプで課された“15項目の打撃練習”は、来春の1軍キャンプやシーズン中でも実施する見通し。今季は4位に終わった。リーグV奪回を目指す23年は、一発頼みだった打線が変貌を遂げるかもしれない。(デイリースポーツ巨人担当・伊藤玄門)

 【巨人の15項目の打撃練習】※失敗した場合は①からやり直す

①セーフティーバント 

②バント 状況=走者一塁 打球方向=一塁方向

③バント 状況=走者一、二塁 打球方向=三塁方向

④バント 状況=走者二塁 打球方向=自ら考える

⑤バント(セーフティースクイズ)

⑥バスター=ヒット狙い

⑦バスターエンドラン

⑧スクイズ

⑨エンドラン 状況=無死 打球=ゴロ

⑩エンドラン 状況=1死 打球=ヒット狙い

⑪進塁打 状況=走者二塁 打球=ゴロ

⑫進塁打 状況=走者一、二塁 打球=外野フライ

⑬二ゴロor遊ゴロ 状況=走者三塁

⑭ファウル打ち(※狙いは球数を投げさせること)

⑮犠飛 状況=走者三塁

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