DeNAに最も不足しているのは何か リーグ優勝に手が届かない理由~高代氏の目

 今季、リーグ成績が2位、CSファーストステージでも阪神に敗れ、不完全燃焼のままシーズンを終えたDeNA。さて来季は?優勝するために克服すべきは?デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は先発投手の枚数、1番打者の固定、走塁技術の3点を挙げ、中でも走塁を「最大の課題」と指摘した。

  ◇  ◇

 DeNAのチーム力は年々上がってきている。投手力を整備してきたことで、安定した戦い方ができるようになっているからだろう。

 打線も牧や宮崎、佐野に加えてオースティン、ソトの両外国人がいて迫力のあるオーダーが組める。投打にわたり、Aクラスに入れるだけの実力をつけてきているね。

 ただ課題もある。投手部門なら今永、大貫、浜口、石田に続くローテーション投手の不足。打線では桑原の不振で1番打者が固定されなかった。このあたりが解消されてくると、さらに上を目指すことも可能だ。若い森がヤクルトでいう長岡のような成長を見せれば面白いんだけどね。

 しかし、優勝となると、少々ハードルは高い。私がDeNAに最も不足していると感じるのは走塁に対する意識の薄さ。意欲的な選手もいるが、全体的に緩いように映る。

 チーム打率・251はリーグ2位だが、数字が示すほど点が取れていない。総得点497は同4位。効率の悪さが目につく。その原因のひとつに“走塁のまずさ”を挙げることができる。

 ヒット1本で二塁から生還できない。打球判断の悪さで進塁できない。これらは足の速い遅いを超えた話で、意識の問題にもなってくる。

 宮崎を例に出して悪いが“足の遅い選手だから仕方ない”ですませていないか。足の遅さをリードでカバーしようという意識がどこまであるか。

 リードには第1リードと第2リードがある。第1リードは小さくても、投手がモーションを起こしてからとる第2リードによっては三塁を奪えたり、本塁に生還できるなど、大きな違いが出てくる。

 今はコリジョンルールがあるから、タイミングがセーフならまずセーフだ。ところが、リードが小さいと、三塁コーチャーは手を回したくても回せない。

 打球判断に関して言えば、例えば無死二塁で打球が外野へ飛んだケース。今シーズン、この状況でタッチアップできずにハーフウエーから帰塁する場面が何度か見られた。

 一死なら“前掛かり”になっても、無死なら“タッチアップ”というのが基本だが、打球の深さや外野手の捕球体勢など、瞬時の判断力も必要になってくる。

 野球で最も難しいのが走塁であり、その走塁練習こそが野球を覚える一番の近道でもある。地味でしんどい練習だが、春のキャンプでは走塁練習をこれまで以上に増やしてもいいのではないか。

 攻撃面に“失策”はないが、的確な状況判断ができるようになれば、大事なところで“ミス”を回避することができる。

 練習で、そしてミーティングで、コーチは口酸っぱく言い続けるしかない。「あれは行けたんじゃないか?」「リードが小さかったんじゃないか?」と。

 私はコーチ時代、好走塁を望むよりも凡走を戒めることを優先した。つまり当たり前のことを確実にやるということ。

 今季、盗塁数(49個=リーグ5位)も少なかった。走ることへの意識付けは必要かもしれない。

 ワンヒットで1点。少ないチャンスを生かすソツのない野球。そこを目指せばDeNAはもっと勝てるチームになるはずだ。

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