市尼崎、サイン盗み指示 コーチが選手に、口止めも 試合では不正なし
兵庫県尼崎市立尼崎高の硬式野球部で2020年秋、当時の男性コーチが選手らに、相手チームのサインを味方に伝える「サイン盗み」を指示していたことが22日、市教育委員会への取材で分かった。同部は夏の甲子園に2度出場した強豪。
市教委によると、男性コーチは秋季兵庫県大会3回戦前日の9月20日にレギュラー選手ら11人を校内の部屋に集め、三塁コーチはキャッチャーのサインが見えたら、バッターに合図するように指示。その上「チームの代表である責任が分からないなら背番号を返せ。他の部員や親にも言うな」と従わない場合は試合に出場させないことを告げ、口止めもしていた。
しかし、試合では三塁コーチが打者に合図を出さなかったため、不正はなかった。同校は敗退した。
サイン盗みを指示された直後にうつ状態と診断され、部活動に参加できなかった部員もいた。学校は指示を試合から約2週間後に把握。事実関係を認めた男性コーチは指導から外され、その後に退職した。