佐藤義則氏「監督やコーチはたまったもんじゃない」球団の垣根を越えた合同自主トレに疑問

 2月1日のキャンプインに向けて、各球団の選手が自主トレに励んでいる。チームの垣根を越えて選手が集まり、合同トレを行うケースも一般的になった。実績のある他球団の選手のところに“弟子入り”して教えを請うことも。デイリースポーツ評論家の佐藤義則氏(68)は「選手個々はそれでいいかもしれないけど、チームとして考えたら決していいことではないと思う」と疑問を口にした。

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 今年もいろんなところで、球団の垣根を越えて選手が集まり、自主トレを行っている。時代の流れといってしまえば、それまでだけど、今の選手たちがいったい何を考えているのか、よく分からないよね(笑)。シーズンに入れば敵になるライバルチームの選手と一緒に練習して教え合ったりするんだから。

 チームのことを考えれば、普通はそんなことはしないと思うけどね。ライバルチームの投手を教えるっていうことは、自分のチームの打者が打てなくなるってことだし、ライバルチームの打者に教えるっていうことは自分のチームの投手が打たれるっていうことでもあるからね。選手たちはいいかもしれないけど、監督やコーチの立場からいえば、たまったもんじゃないと思うよ。

 私のころは自主トレはチームメートと一緒にやるのが一般的だった。他球団の選手とやるなんて考えたこともなかった。もっと言うと、チームメートだってライバルでもあるから、教え合うなんてことはしなかった。自分がしっかりした成績を残せるようなってからは、チームが勝つために若い選手にアドバイスを送ったりはしたけど、基本的にはチームメートであっても、先発ローテ争い、レギュラー争い、あるいは1軍争いをするライバルでもあるんだからね。

 他球団の選手ともそんなに交流はなかったね。共通の知人がいたり、学校の先輩後輩というつながりでシーズンオフに食事に行ったりしたことは何回かあったけど、もちろんシーズン中に行くことはないし、球場で会ったらあいさつする程度だった。私の頃は「当てられたら当て返せ」という時代。死球も辞さない「けんか投法」なんて言葉もあった。仲良くしてると厳しいボールも投げられない。いまの選手たちはどんな感じなんだろうね。球場でも楽しそうに話をしているシーンも見たりするけど。

 今の時代はSNSがあるから、すぐに他球団の選手ともつながることができるみたいだし、みんな仲もいいんだろうね。ユーチューブなどの動画も簡単に見られるから、いろんな選手のプレーを見て、気になる選手がいれば、その選手に“弟子入り”してしまうんだから本当にすごい時代になったよね。

 もちろん、選手の立場に立てば、他球団の選手と一緒に練習することで大きな刺激を受けるだろうし、またレベルの高い技術や考え方を教えてもらうことは悪いことではない。また教える方も人に伝えることで自分の技術を改めて確認できたり、さらに現状に満足することなく、より高いレベルを目指す動機づけにもなったりする。だから一概にこういう形の合同トレが悪いというつもりはないが、チームのことを考えれば、果たしてどうなんだろうね。勝ち負けを預かる監督やコーチは「いかがなものか」と感じている人は多いんじゃないかな。

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