楽天・ドラ6林 1日でも長くプロの世界に 朗希ら同世代刺激 挫折や指名漏れ乗り越え夢実現

 新人合同自主トレに励む林
 金足農にサヨナラ負けを喫し、泣きながらベンチに引き揚げる近江・林(左)=2018年8月18日、甲子園
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 デイリースポーツの番記者がピックアップした「イチ推しルーキーズ2023」。第1回は楽天のドラフト6位・林優樹投手(21)=西濃運輸=を取り上げる。高校時代の挫折や指名漏れ、社会人時代のケガを乗り越えて夢を実現。同世代のロッテ・佐々木朗、オリックス・宮城に追いつき、追い越す意気込みでプロの世界に飛び込む。

  ◇  ◇

 野球ファンなら林といえば、あのシーンを思い浮かべるはずだ。2018年夏の甲子園準々決勝。近江2年の林は吉田(現日本ハム)擁する金足農と対戦。1点リードの九回に逆転サヨナラ2ランスクイズを決められ、泣き崩れた場面だ。

 「自分にとって分岐点だった。負けて悔しかったけど、本当にいい経験をさせてもらった」。野球人生で最も心に残る試合だった。

 高校時代の林にとってプロは、ぼんやりと描く大きな目標だった。そんな考えが大きく変わる瞬間が訪れる。高校3年時に選出された高校日本代表で、佐々木朗(現ロッテ)に出会った。「今まで見たことのないようなボールを投げていた」と衝撃を受け、同時に「今の自分の力ではプロで通用しない」と強い危機感を覚えた。

 その後、プロ志望届を提出したが、19年ドラフト会議では指名漏れ。社会人の名門・西濃運輸に進み、危機感をレベルアップにつなげた。入社直後に左肘を疲労骨折したが「一番の課題だった体作りに重点を置けた」と肉体改造。3年間で直球の最速は15キロアップし、147キロを計測するまでになった。

 高校日本代表でチームメートだった宮城が、オリックスで活躍する姿からも刺激を受けた。「こういうタイミングでカーブを投げるんだとか勉強させられた」。同じ左腕の投球術を参考にしてきた。

 そして、22年ドラフトで楽天から6位指名を受けた。「ホッとした気持ちと、3年間逃げずにやってよかった」。林の目から自然と涙があふれた。

 佐々木朗からはドラフト当日に連絡が入り、入寮前日には電話をするなど頻繁に連絡を取っているという。世代を代表する右腕を含め、同級生はすでにプロで活躍している。「自分も同じ舞台に立ちたい」と1軍での活躍を誓う。

 聖地への熱い思いもある。京都府出身の林は、父・雅之さんの影響で幼少期は阪神ファン。「ファンクラブに入って、甲子園には頻繁に行っていました」と振り返る。「そんな時がきたらいいなと思う」と甲子園での阪神戦登板を熱望した。

 「1年でも1日でも長くプロ野球選手でいられるように」。何度も壁を乗り越えてきた苦労人は、プロでも強打者に挑み続ける。

 ◆林優樹(はやし・ゆうき)2001年10月29日生まれ、21歳。京都府出身。174センチ、74キロ。左投げ左打ち。投手。近江、西濃運輸を経て2022年度ドラフト6位で楽天入団。近江では甲子園に春夏3度出場。西濃運輸では球速10キロ以上アップして147キロを計測。

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