大物なぜWBC出場辞退?評論家は「野手は34、35歳がひとつの山」“転換期”の坂本、柳田、森、今宮、平良らの決断にファンの受け止めは-

 3月に行われるWBCの日本代表30選手が内定。エンゼルス・大谷やパドレス・ダルビッシュらメジャー組にヤクルト・村上やロッテ・佐々木朗の国内組など超豪華メンバーが名を連ねた。

 一方、代表入りする可能性がありながら、辞退を選択した大物も。巨人・坂本、ソフトバンク・柳田と今宮、オリックス・森、西武・平良は、シーズンへの調整を最優先する方向となった。

 なぜ辞退となったのか-。昨季、けがで3度の離脱を経験した坂本が「栗山監督にコンディションについてやシーズンに集中したい旨を伝えさせていただきました」と言えば、FA移籍により新天地でシーズンを迎える森は「行きたい気持ちはあるんですけど、チームが第一優先なので、そこに向けての準備をしていきたい」と胸中を明かした。

 今宮は昨年末の契約更改で新たに2年契約したことを報告。「ありがたすぎる契約だった」と球団への恩返しを誓い、平良も今季から先発転向を直訴し、昨年の契約更改時にWBC辞退を表明していた。

 共通するのは、5選手ともに選手生活の“転換期”であるということ。デイリースポーツ評論家・関本四十四氏はともに34歳の坂本、柳田について「昔から野手は34、35あたりがひとつの山と言われてきた。目の衰え、なんてことも言われたけど、ここを乗り越えてうまく36にいけるかでその先が変わってくる」と話す。

 かつて、巨人では王貞治氏が35歳シーズンで33本塁打と前年から10本以上減少したが、36歳シーズンで盛り返し、翌年49本塁打を放った。34歳で3年ぶりの30発をマークした阿部慎之助ヘッドも「35を超えたらもう能力は上がらないし。どう維持するかという方に方向転換していくと思うので」と、坂本の今後について語っている。

 また、関本氏は3月の開催時期にも言及する。「ここにピークを持っていくのは本当に難しいもの。ベテランなら、なおさら。終わった後、気持ちを作り直すことも簡単ではないと思う」。過去、WBCに2度出場した坂本は13年、17年ともに前年より成績を落としており、その難しさも口にしている。

 関本氏は平良、森の心情にも理解を示す。「森はキャッチャーというポジションであることが大きいだろうな。投手の球種、性格、キャンプやオープン戦で受けて特徴を把握しなければいけない。平良は球団に志願して先発転向したなら、開幕前には『7回100球はOKですよ』と見せなければいけない。そのためには140球、150球の投げ込みもしなければいけないだろうし、3月にWBCに行っていたらそれは無理だろう」という。

 過去、WBCでは09年大会で中日全選手が辞退。17年大会も大谷がけがで辞退を表明し、物議を醸した。

 では今回、ファンの受け止めはどうか。ネットでは坂本について、「去年の成績だけ見れば、日本代表で盤石かと言われれば違う」という冷静な意見や、柳田とともに「年齢からしてもベテランだし、シーズンに専念できる権利もある」、「コンディションに不安があるからこそ、逆に栗山監督に配慮したのでは」などの声も。森には「捕手なので致し方ない部分がある」。「まだ27歳なので次回に期待」など、理解を示すファンが比較的多い印象だ。

 WBCは今回でまだ第5回大会と歴史が浅く、「サッカーやラグビーのW杯なら多少無理してでも参加するだろう」と比較する声もある。ただ、第一回大会で辞退者が続出した米国も直近では大物が参加し、今大会もトラウト、カーショーらの出場が有力視されるなど徐々に他国の“本気度”も増している。

 「負担を承知で出場してくれた選手に敬意を表したい」との声に共感するファンも少なくなく、3月、大きな盛り上がりを見せるのは間違いなさそうだ。

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