巨人育成ドラ3吉村優聖歩 甲子園でも注目の「変則トルネード」 転機は恩師・馬淵監督の助言
デイリースポーツの番記者がピックアップした「イチ推しルーキーズ2023」。今回は巨人の育成ドラフト3位・吉村優聖歩(ゆうせふ)投手(18)=明徳義塾=を取り上げる。トルネード投法で昨夏の甲子園でも注目を浴びた左腕。恩師からの教えを貫き、プロの階段を上がっていく。
新人合同自主トレ3日目に行われた1500メートル走。吉村は14人中1位、球団新人記録を更新する好タイムで走り抜いた。「気合を見せたろうかなと思って、飛ばしました」。昨夏の甲子園を沸かせながらも、プロでは育成3位からのスタート。なりふり構わずできることからアピールを続けている。
一風変わった投球フォームを貫く。投球前に二塁ベース方向に大きく体をねじ曲げるトルネード投法からの横手投げが自らのスタイル。転機は明徳義塾2年時の春に受けた恩師からの助言だった。
「ちょうど調子を落としていて、馬淵監督から『サイドにしてみろ』と言われて。次は『勢いつけて(体を)回してみろ』と。そこから自分でもどんどん回るようになって。そっちの方が勢いもつくし。それで今に至ります」
上手投げだった左腕にとって大胆なフォーム変更。それでも指示に従うと、みるみる復調した。そこから2年連続で夏の甲子園でも登板し、「変則トルネード」としても脚光を浴びた。プロの舞台でも「これが自分の取りえ」と捉えて特徴を存分に生かしていく覚悟だ。
日本人の母とエジプト人の父の間に生まれた。「『どこのハーフ?』って聞かれてエジプトって答えたら『珍しい!』って言われるのは毎回ですね」と、日常を明かしながら、「僕は目立つのは嫌いじゃないし、ハーフってことは全然ウエルカム。なんか珍しいので。だから自分でも気に入っている」と端正な顔をほころばせた。
ドラフト1位・浅野(高松商)とは高校日本代表でもチームメートで大の仲良しだが「負けたくないなとは思います。今はまだ浅野の方が上だけど、いずれ追い越したい」と対抗心を燃やす。「3年後くらいには1軍で投げていたい」。最終的には同期入団の誰よりも目立ち、輝くため、鍛錬を積んでいく。
◆吉村優聖歩(よしむら・ゆうせふ)2004年12月8日生まれ、18歳。熊本市出身。182センチ、75キロ。左投げ左打ち。投手。明徳義塾時代は2、3年夏の甲子園出場。3年時はU18W杯日本代表で銅メダル。22年度育成ドラフト3位で巨人から指名され入団。長身で手足が長く、クロスステップで投げ込む変則左腕。