入来智さん 祐作さんに「若いんだからまだまだやれる」 弟への愛情が深かった兄
近鉄、巨人、ヤクルトなどで投手として活躍した入来智氏が10日に交通事故のため、宮崎県都城市内で亡くなった。55歳だった。巨人所属時の担当記者が、入来氏の弟思いな素顔を振り返った。
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訃報を知り、本当に驚いた。入来智さんはいつも闘争心をみなぎらせ、骨太で、一本気な性格だった。
兄弟で巨人に在籍し、話題になった2人。巨人などで通算35勝を挙げた弟の祐作さんだが、99、00年の2年間はわずか1勝止まり。2軍暮らしが長く苦しみ、深い悩みを抱えていた。
祐作さんは「兄貴、俺はクビかもしれない」と本心を打ち明けた。すると智さんはこう激励してくれた。
「いつかは、チャンスが来るから、腐らずに与えられた仕事を頑張っておけ!オマエくらいの実力があれば、どこでも取ってくれる。巨人でダメでも若いんだからまだまだやれる!」
兄からの熱い言葉を胸に、弟は巨人時代の01年に初の2桁13勝をマークして大ブレークした。
厳しさも持ち合わせていた兄だが、弟への愛情は深かった。心よりご冥福をお祈りします。(デイリースポーツ巨人担当・伊藤玄門)