侍・佐々木朗 3・11世界デビュー 忘れられぬ日に先発へ「できることをやるだけ」
「侍ジャパン強化合宿」(19日、宮崎)
佐々木朗希投手(21)が3月11日のWBC1次ラウンド・チェコ戦(東京ド)に先発することが19日、有力となった。この日はサンマリンスタジアム宮崎で行われている、野球日本代表「侍ジャパン」の強化合宿で初のブルペン入り。ダルビッシュらが見守る中、直球にフォーク、スライダーと37球を投じた。世界デビューへ向けて、若き才能の進化は止まらない。
「3・11」。佐々木朗にとって忘れることのできない日に、運命の一戦を迎えることになりそうだ。今年で東日本大震災から12年。「チームのために自分ができることをやるだけかなと思っています」。注目の世界デビューは、くしくも3月11日の1次ラウンド・チェコ戦が有力となった。
震災当時は9歳。津波で自宅が流され、父の功太さんと祖父母が他界した。悲しみを乗り越え、今では球界を代表する投手に成長。侍の14番を背負い、強力な投手陣の一角を担っている。
この日は、ブルペンを独占。無数のフラッシュを一身に浴びた。「いい球を投げないとなと、力みながら投げてしまいました」。ネット裏からはダルビッシュや栗山監督、ドジャースのスカウトも視察。1球ごとに球の威力や球筋、佐々木朗を丸裸にするように目を見開いた。
その1球目。きれいなフォームから直球が放たれ、甲斐のミットに「ズドン!」。ダルビッシュも思わず首を縦に振る。続けて、フォークにスライダーと一級品の球を投げ続けた。「指のかかりが良くなかった」と言いながら、最速は156キロを計測。スライダーには誰しもが酔いしれた。
見事なまでに、横方向へ大きくスライド。初日に室内練習場で助言を送ったダルビッシュも「いいスライダーを投げていました。自分のものにしている」と絶賛。ドジャースのフリードマン社長も「最高の才能の持ち主」と賛辞を贈った。
ただ、本人は納得せず。「少しずつ良くなっている」と発展途上に過ぎない。投球後には、ダルビッシュとトラックマンデータを入念にチェック。山本らの投球も見学し、技術を吸収しようという意欲もあふれる。
大谷、ダルビッシュ、山本に並び、先発4本柱としての期待がかかる。「自分ができることをやることが一番。そこに集中して、自分のプレーをする」。日の丸を背負い、世界へと羽ばたく時。「3・11」での快投が、天国の家族、そして日本中を明るく照らす。