歴史に刻んだ女子部員初甲子園ノッカー 城東初戦敗退も「楽しかったので満足しています」
「選抜高校野球・2回戦、東海大菅生5―2城東」(22日、甲子園球場)
甲子園の歴史に新たな1ページを刻んだ。21世紀枠で初出場の城東のマネジャー・永野悠菜さん(3年)が女子部員初のノッカーを務め、グラウンドに立つ夢をかなえた。試合は東海大菅生に敗れ、初戦敗退となった。第1試合は光、第2試合は専大松戸が勝ち、3回戦進出を決めた。
注目を集める中、一球一球、心を込めて内野手にゴロを打った。城東の女子マネジャー・永野さんが女子部員として初めて甲子園でノッカーを務めた。冒頭1分半で新治監督と交代。9000人の観衆から大きな拍手が送られた。
「選手12人と同じグラウンドで戦うことができてうれしかった。多くの方が見ている前で堂々と打てた。100点ではないけど、楽しかったので満足しています」と充実の表情を浮かべた。
運動は苦手だが、高校入学時に幼稚園から一緒だった森本に誘われて入部し、昨春からノッカーにも挑戦。最初は空振りの連続だったが、猛練習の末にチームに欠かせない戦力となった。毎朝5時に起床し、自習してから7時からの朝練に参加。帰宅後は塾にも通って文武両道を実践。辞めようと思ったことも、後悔したことも「ない」と即答する。
試合には敗れたが、先制するなど全校応援のアルプス席を盛り上げた。制服に着替え、記録員としてベンチで戦った2時間2分を「みんなが1秒も諦めることなく全力でプレーする姿に感動しました」と振り返った。
野球に没頭するのは高校3年間だけと決めている。大学では「小学校から続けてきた音楽に戻りたい」と話す。「諦めなかったら夢をかなえることができると実感した。みんなでまた甲子園の土を踏みたい」。城東野球部員の一人として、最後の夏に完全燃焼を目指す。
◆永野悠菜(ながの・ゆうな)2006年1月11日生まれ、17歳。徳島市出身。163センチ。右投げ右打ち。助任小では金管バンドでフリューゲルホルン、徳島中ではオーケストラ部でファゴットを担当。得意教科は音楽。好きな言葉は「1%の可能性を100%信じる」。
◆女子部員の活動範囲 今大会から試合前の守備練習で女子部員がノッカーを務めることが認められた。昨夏から練習補助やボールパーソンが認められていた。