ロッテ・種市は球界有数のフォークの使い手 奪三振記録保持者の野田氏が絶賛
「西武2-6ロッテ」(9日、ベルーナドーム)
ロッテ・種市篤暉投手(24)が注目を集めている。変幻自在のフォークボールで打者を手玉に取る独特のテクニック。デイリースポーツウェブ評論家の野田浩司氏は「フォークの使い手」という表現で絶賛した。
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種市のフォークボールはいいですね。落差があるだけではなく、意図的に打者の内外角に投げ分けているし、シンカー気味に落としたり、試合途中に握りまで変えているようだから。これはなかなかできることではないですよ。
7回で2失点。三振の数は6個しかなかったが、カウント球で使ったり、勝負球で使ったり、打者の左右で変えてみたり、とにかく引き出しが多いのが彼の特長だ。
私もかなりフォークを投げたが、試合中にボールの握りを変えることなどはできなかった。目標はホームベースの後ろの角。地面スレスレでミットに収まるように投げていただけ。せいぜい“強弱”程度。だから両サイドへの意識もなかった。
(野田氏は1995年、フォークを武器に1試合=9イニング=最多となる19奪三振を記録。昨年、佐々木朗希に並ばれたが、現在も日本記録として残っている)
多くの投手が真ん中低めを狙って投げることを考えると、おそらく少数派でしょうね。そういう意味でも種市は“フォークの使い手”と言えるんじゃないですか。スゴいですよ。
それとフォークとスライダーの見分けもつきにくい。これは握りを確認しないと何とも言えないが、打者からすると球種に関係なく曲がって落ちる球が打ちにくいことに変わりはないからね。
捕手の佐藤都志也が2、3度、タイミングを外されたような捕球の仕方をしていたが、この場面を見ても、フォークが予測以上の落ち方をしていたのが分かる。サイン違いと明らかに異なるミットの動きだった。
先に「たった6個」という言い方をしたのは今年の種市の奪三振率(9日現在で11・85)と比較してのこと。これを1年間維持するのは大変だが、同僚の佐々木朗希(同14・06)は別格として、そう簡単に「10」は超えないものですよ。
また2試合連続で無死四球という制球の良さも目をひいた。内角へ飛び込んでいく直球と自信のあるフォークが、いいコンビネーションを見せていた。
これで3勝2敗。防御率は1・65。この日はややスピードに欠けたが、球速は150キロ以上出る。そこへ変幻自在のフォーク。ピンチで三振なら何も起こらないし、これは種市にとって大きな武器だ。
故障で回り道こそしたものの、トミー・ジョン手術を経て大きく視界が開けてきたね。もともと期待されていた投手。今年は2桁以上の勝ち星を十分に望めると思う。