中西太氏死去「太さんがいなかったら今の自分はない」「感謝しかない」 教え子の谷佳知氏が追悼

 強打の内野手として西鉄黄金時代を牽引し、阪神監督など複数の球団で指導者を歴任した中西太氏が死去したことが18日、分かった。90歳だった。オリックス時代の教え子である谷佳知氏(50)は「太さんに指導してもらったおかげで今の自分がある。感謝の思いしかない」と追悼の言葉を寄せた。

 オリックス入団1年目の1997年、中西氏は仰木彬監督の下でヘッドコーチを務めていた。

 「スタメンで出始めた時に、『ストライクを3球、振ってこい』と言って打席に送り出してくれた。自分は元々、初球から振っていくタイプだったので、それでとても気が楽になった。『自分のスタイルは変えなくていい』と。太さんの言葉にどれだけ勇気をもらったか。助けられたか」と入団当初を振り返った。

 若い頃は朝から晩まで打撃練習に付き合ってくれたという。「ティー打撃でトスを上げながら励ましてくれたり、褒めてくれたり。マイナスの言葉をかけることはない。選手を『のせる』のが抜群にうまかった。太さんが数を振らせてくれたおかげで、打撃の下地ができた」と述懐する。

 打つ瞬間に腰を逆方向にひねるように動かすことから「ツイスト打法」と呼ばれた中西氏の打撃理論が、「自分にはとても合っていた」という。

 「踏み出した足を止めてカベをつくることで、バットが内側から出る。(打つ瞬間に)腰を逆方向にひねるような意識で動かすことでヘッドスピードが上がって、ボールも飛ぶ。パワーがない人には特に有効な打撃理論だと思う」

 複数の球団で長きにわたって指導にあたってきた中西氏の打撃理論の信奉者は球界に数多い。

 「太さんに教わった打撃の考え方は、私のベースになっている。私以外にも球界に教え子がたくさんいる。本当に偉大な指導者。太さんがいなかったら今の自分はない。感謝の思いしかない。太さんの打撃理論を次の世代に伝えていくことが、私たちの使命だと思う。心からご冥福をお祈りします」と、亡き恩師を悼んだ。

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