谷佳知氏 中西太氏悼む「教えを次の世代に伝えていくことは、私たち教え子の使命」
プロ野球・西鉄(現西武)の強打の内野手として黄金期を支え、打撃指導でも定評があった中西太(なかにし・ふとし)さんが11日午前3時38分、東京都内の自宅で心不全のため死去したことが18日、分かった。90歳。高松市出身。告別式は家族で行われた。
最近はお会いする機会がありませんでしたが、体調が良くないとは聞いていました。太さんには多くを学び、また助けてもらいました。本当に感謝の思いしかありません。
私がオリックスに入団した1997年はヘッドコーチでした。スタメンで使ってもらったのになかなかプロ初安打が出なかった時、「ストライクを3球、振ってこい」と言って送り出してくれたことは今でも忘れません。「お前のスタイルは変えなくていい」と言ってくれて。太さんの励まし、温かな言葉にどれだけ救われたかわかりません。
打つ瞬間に腰を逆方向にひねるように動かすことから「ツイスト打法」と呼ばれた太さんの打撃理論は、今でも私のベースになっています。パワーがない人でも力強い打球を飛ばすことができる。若い頃、朝から晩まで練習に付き合ってくれて、数を振らせてもらったことで自分のものにすることができた。太さんがいなければ、19年間も現役を続けることはできなかったと思います。
太さんの教えを次の世代に伝えていくことは、私たち教え子の使命だと思います。太さん、本当にありがとうございました。心からご冥福をお祈りします。(元オリックス内野手、デイリースポーツ評論家・谷佳知)