ヤクルト・奥川の現在地 朗希、宮城ら同級生活躍に「見たくない時期あった」も心境変化 「対戦考えながら見られるように」

 巨人打線を相手に力投する奥川
焼き肉を前に笑顔の(左から)U18日本代表・飯塚脩人(習志野)、奥川恭伸(星稜)、宮城大弥(興南)、佐々木朗希(大船渡)=韓国、2019年9月4日
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 華々しい活躍で日本一に導いた21年から2年が経過した。ヤクルト・奥川恭伸投手(22)は2022年3月29日・巨人戦(神宮)で右肘痛を発症して以降、1軍登板から遠のいている。ファームで練習、リハビリを続ける中での苦悩や心境の変化。そして、1軍復帰を目指す現在地を追った。

 高卒2年目の21年。奥川は9勝を挙げ、チームを6年ぶりのリーグ優勝に導いた。CSファイナルS・巨人戦ではCS史上最年少完封でMVPを獲得。20年ぶりの日本一にも貢献した。

 これから球界を引っ張っていくだろう-。そう思われた矢先の22年だった。3月29日・巨人戦(神宮)。4回で急きょ降板し、出場選手登録抹消。以降、右肘痛の影響で1軍から離れている。

 ただ、ようやく光が見えてきた。昨年12月には約50メートルの距離でキャッチボールを行い、今春2軍キャンプはブルペン投球を行った。

 3月30日は戸田球場のライブBPで約1年ぶりに打者へ投球。4月18日のイースタン・ロッテ戦で385日ぶりに実戦登板し、1回無失点。5試合で2敗、防御率5・17ながら順調に球数を増やしている。見守ってきた池山2軍監督も「暖かくなってくるし、もっと(調子を)上げてくると思う」と太鼓判だ。

 22年3月の離脱後は手術ではなく、保存療法を選択。長いリハビリ生活の中で、以前より右肘に負担がかからない新しい投球フォーム習得を目指した。キャッチボール再開後は上半身と下半身の連動を意識。「体(の動き)をつなげることを意識してトレーニングに取り組んだ」。全体練習と別でキャッチボールの時間をつくり、フォームを固めた。

 精神面では苦しい時期を過ごした。昨季のチームは連覇に向けて快進撃を続け、他球団では同級生の佐々木朗、オリックス・宮城らが活躍し始める。「あまり見たくない時期もあった」と落ち込み、1軍の試合から目を背ける日々が続いた。だが、1年をかけて変化していった。

 「周りと比較しても仕方ない。自分を見つめるしかなかった」。1軍に戻ることだけを考えるようになり、周りのことが必要以上に気にならなくなった。「先を見据えて、対戦することを考えながら見られるようになった」と徐々に1軍の試合にも目が向いた。

 今季から背番号11から18に変更。心技体で一回り成長した右腕の復活を、チームもファンも待ち望んでいる。(デイリースポーツヤクルト担当・高石航平)

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