DeNA・山崎が継承する大魔神の教え 悔しくても取材対応するワケとは

 阪神との首位攻防戦3連勝で44日ぶりの単独首位奪還とともに、帰ってきた笑顔がある。DeNAの守護神・山崎康晃投手(30)が再出発のセーブを記録。どれだけ悔しい思いをしても“ハマの守護神”として、受け継いでいる大魔神のDNAがある。また同じ志を持つ友へ。伝えたい思いも明かした。

  ◇  ◇

 糸を引くような151キロの直球が、低めに決まる。球審の手が上がり、マウンド上の山崎は感情そのままにほえた。25日の阪神戦は、勝てば首位浮上の一戦。「原点回帰の外角ストレート。僕の生命線はそこだと思うので、もう一度自分の投球を振り返りました」。九回2死。前川を見逃し三振に仕留めて三者凡退で締め、ハマの守護神に笑顔が戻った。

 気持ちの整理に時間がかかった。引き分け以上で交流戦自力優勝となる19日・日本ハム戦。延長十回に登板したが、1死から万波にスプリットを左翼席に運ばれて4敗目を喫した。「責任が大きいポジションなので、純粋に自分自身の責任」と一切の言い訳をすることなく、自らの課題と向き合った。

 大きな重責を背負うからこそ、悔しさやもどかしさを人一倍抱えるのが守護神の責務だ。山崎も打たれた直後の映像は「冷静に見ることができない」とすぐには振り返らないという。だが、頭の整理もつかないうちに報道陣に立ち止まって対応する。それは、なぜなのか。日米通算381セーブを挙げるなど、抑えとして一時代を築いた大魔神・佐々木主浩氏の教えがあった。

 「僕は『打たれたときに記事にしてもらって当たり前』、『そうなったら一人前』と教わってきました。どんなに苦しくても、何点取られたとしても、真摯(しんし)に受け止めないといけない立場。何が起きたのかを話すことは、僕の頭の整理にもなるので」

 プロ9年目。積み上げてきた224セーブは、決して順風満帆な記録ではない。20、21年には不振から守護神を剥奪された。当時の悔しさは忘れることのない記憶だ。だからこそ今、同じ苦しみを味わう広島・栗林への思いが言葉になった。

 「何回も僕、連絡しようと思って…。(メッセージを)打ってはやめてっていうのを繰り返している。痛いほど気持ちは分かるというか。いつかまた正々堂々とセーブ王を争いたい。そういう仲間だと思っています」

 自分自身で乗り越えなければいけない壁がある。当たり前ではない大切な居場所だ。「日々勉強。人の気持ちを大事にしながらやっていきたいです」。守護神としての誇りを胸に、25年ぶりの優勝へ向かうチームを支えていく。(デイリースポーツ・松井美里)

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