3連覇へ最大の試練 オリックスは森友哉離脱の危機をどう乗り切るのか ナカジマジックに期待?野田浩司氏が分析
オリックスは主力の森友哉捕手(27)が左ハムストリング筋損傷で戦列を離れた。復帰時期は未定で、チームにはV3への暗雲が垂れ込める。デイリースポーツウェブ評論家の野田浩司氏は「投手力を軸にした総合力である程度はカバーできる」と見通し、ベンチの“やりくり”にも期待した。
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日本ハム戦で故障したときの森の様子からすると、戦列復帰には結構、時間がかかるかもしれない。足を地面につけることすらできず、カートに乗せられていたからね。後半戦へ向けたオリックスの戦いを占うにあたって、森の離脱は心配ですね。
現状、ソフトバンクに次ぐ2位。ただ攻撃力が低下したのは確かだが、このままズルズル引き離されるとは考えにくい。なぜなら質量ともに豊富で高いレベルの投手力を有しているから。この強みを生かし、森不在でもある程度は踏ん張ることができると思っている。
そもそも吉田正尚が抜けると分かった時点で、ディフェンス面を意識した“守り抜く野球”を想定していただろうからね。
そういう意味で、こと守りに関しては大きな問題はないと捉えている。若月は肩もリードもいいし、V2の間にかなり経験値も上げている。森の加入がなければ、バリバリのレギュラー捕手ですからね。
そうなるとやはり攻撃力に目がいくが、今季はチーム打率が上がり、打線につながりが生まれてチャンスにも強くなっている。これは2年間の成長の跡を示すものだと言える。あとはベンチの“やりくり”にかかってくるのかな。
選手起用に長けているという点で、よく中嶋監督と仰木(彬)監督の采配を比較されることがあるけど、基本的な手法が違うように思う。
仰木さんは、ほぼ固定された1軍メンバーでの“やりくり”で、相手投手との相性など対戦データを駆使しながら幾通りものオーダーを組んでいた。その眼力の確かさと勘の働きは独特でしたね。
中嶋監督は1、2軍そして育成までチーム全体に網を広げて見ている。使えそうな選手を支配下登録し、調子のいい選手を1軍へ引き上げると働く-という具合に幅広い“用兵”をチーム力の底上げにつなげている。
投手なら“使い減り”を避ける配慮も。こういうことができるのも選手層に厚みがあるからでしょう。
ペナントレースも残り半分を切り、パ・リーグは上位3球団の争いがさらに熾烈を極めていくはず。この2年は最後の最後まで優勝争いがもつれているだけに、今年もドラマの詰まった最終盤を期待できるのでは。
首位に立ったソフトバンクは千賀が抜けたとはいえ、日本ハムから近藤が加わり栗原が戻った打線に数字以上の迫力を感じるね。