オリックス・山本由伸 理想は足を上げない沢村栄治 「楽しみにしていてください」
「オリックス5-1西武」(8日、ほっともっとフィールド神戸)
オリックス・山本由伸投手(24)が今季初完投で8勝目をマークした。2年連続沢村賞に輝いた右腕が理想とする投手は「沢村栄治」。元担当記者が、今季交流戦で再会した時のエピソードを明かす。
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交流戦で山本に久しぶりに会った。首回りから胸板にかけて、一回り大きくなったように感じた。
「分かります?トレーニングの成果です」
入団以来、変わらない野球少年の笑顔がそこにあった。ウエートトレーニングはやらない。ブリッジなどさまざまな種類の体操によって毎日2時間以上、体の隅々まで鍛え上げる。独特の練習方法を続けている。その延長線上に、左足を上げない投球フォームもあるという。
「難しいですけどね。見えてきてるものもあるんです。あと、ちょっと。理想は沢村栄治さんです」
ん?沢村栄治といえば、左足をまっすぐに高々と上げる投球フォームが有名。銅像にもなっている。正反対では?
「1球だけ試合の動画があるんですよ。見てください」
調べてみるとあった。昭和11年12月とされる映像には、確かに左足を上げずに投げる沢村の姿が残っていた。
「まだ沢村栄治さんみたいにうまく投げられていないですけど、もうちょっとです。楽しみにしていてください!」
2年連続沢村賞を獲得した山本の理想が沢村栄治。日本野球の進化を感じた。(16年-21年オリックス担当・達野淳司)