神戸学院大付・鬼沢 将来的には女子も甲子園へ 野球部初で唯一の女子部員最後の夏
3年生にとっては最後の夏。公式戦に出場できなくても男子部員に交ざり、鍛錬の日々を過ごす女子部員も熱い気持ちで臨んでいる。日川(山梨)の赤沢果穂内野手(3年)と、神戸学院大付(兵庫)史上初で唯一の女子部員・鬼沢日和(ひより)内野手(3年)に、甲子園を目指すチームの中で野球に打ち込んだ、3年間の思いを聞いた。
◇ ◇
夏の大会を前に緊張感が漂うグラウンド。二塁を守る神戸学院大付・鬼沢は人一倍に声を出し、仲間を鼓舞した。
「3年間できると思っていなかった。達成感もあるんですけど、最後の夏に甲子園へ出場するためにもっとチームを上げないといけない」
野球部初で唯一の女子選手。入学前はマネジャーや女子硬式野球部のある高校へ進学することも選択肢としてあった。それでも「野球を続けたい。学院でやりたい」と、同校で主将を務めていた3歳上の兄・凜太郎さんの背中を追った。
特別扱いは一切ない。岩上昌由監督(47)は「1人の選手として指導しています」と、長距離走や冬に行う山道のランニングなど、男子と同じ練習メニューをこなしてきた。
女子部員の公式戦出場はまだ認められていない。「将来的には女子のレベルも上がって、一緒に甲子園に立てるようになればいいですね」と鬼沢。初戦は13日の御影戦。グラウンドに立てなくても懸命に白球を追い、一丸となり熱い夏を戦い抜く。
◆鬼沢 日和(おにざわ・ひより)2005年7月23日生まれ。兵庫県神戸市出身。156センチ。右投げ右打ち。小4から東灘少年野球団で野球を始め、中学は西宮シニアに所属。高校では女子硬式野球チームの連合丹波でもプレー。50メートル走7秒8。
◆高校野球と女子部員 日本高野連の規定で公式戦への出場は認められていない。2001年に高知県教育長が女子部員の大会出場を求める要望書を提出したが、男女の体力差や安全面から認められず。08年にも静岡・藤枝市から同様の要望書が提出されてもルールの変更には至らなかった。