「高校野球兵庫大会・３回戦、滝川二９－５明石南」（１５日、明石トーカロ球場）

　兵庫大会で今春の県大会準優勝・滝川二が延長十回タイブレークの末、明石南を破った。チームの危機を救ったのは、今秋ドラフト上位候補の坂井陽翔投手（３年）だ。「４番・右翼」で出場し、４番手として登板。５回１安打無失点、７奪三振の好投でチームに流れを呼び込んだ。バットでも延長タイブレークの十回、勝ち越しの適時二塁打。投打にわたって躍動し、４回戦進出へ導いた。

　チームの大黒柱が重い空気を振り払った。「苦しい展開だったが、何とか流れを持ってこようと思いました」。今秋ドラフト上位候補の坂井が投打にわたる活躍でチームの勝利に貢献した。

　この日は、「４番・右翼」で出場。チームは初回に１点を先制するも、三回までに４失点。「みんな焦っている部分もあった」と右翼から嫌な雰囲気を感じ取っていた。今後の戦いを見据え、この日の登板予定はなかったが、自ら登板を志願。「心と体の準備は常にできている」と迷いはなかった。

　２点ビハインドの六回から今大会初のマウンドへ。先頭に四球を与えるも後続を打ち取り、無失点に抑えると波に乗る。七回２死からは５者連続三振を記録。「（三振を）取れるカウントの時は狙った」と、高い奪三振能力を見せた。

　打撃でも魅せる。八回２死走者なしから左翼フェンス直撃の二塁打。この一打を足がかりにチームは同点に追いついた。極め付きは延長十回タイブレークだ。無死一、二塁で打席へ。「チームのために何とか一本出そうと打席に立った」。変化球を振り抜くと、打球は左中間へ。勝ち越しの適時二塁打となり、これが決勝点となった。

　視察に訪れた巨人・岸スカウトは「メンタルが強い。将来楽しみな選手」と評価。チームの危機を投打で救った右腕は「チーム全体で勝ち上がっていけるように」と長い夏にすることを誓った。

　◆坂井陽翔（さかい・はると）２００５年４月５日生まれ。兵庫県加古川市出身。身長１８６センチ、体重８４キロ。右投げ右打ち。小学２年からＨＩＯＫＡパワーズで野球を始め、中学では播磨ボーイズに所属。滝川二では１年夏からベンチ入り。球種はカーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ、フォーク、ツーシーム。最速１４９キロ。