智弁学園 タイブレーク執念サヨナラ 救援・中山が120球粘投7回11安打3失点
「全国高校野球選手権・1回戦、智弁学園7-6英明」(7日、甲子園球場)
1回戦4試合が行われた。第3試合は智弁学園が延長十回タイブレークの末、英明にサヨナラ勝ち。
背中に重みを感じていた。遊撃との二刀流で最速146キロ右腕の中山優月投手(3年)が3番手で登板し、7回11安打3失点。「背番号1をつけてチームを負けさせるわけにはいかないと思った」。120球の粘りの投球が光った。
奈良大会タイ記録の12本塁打を放った強力打線が、英明の継投策に沈黙した。タイブレークの延長十回に犠打で1死二、三塁とし、スクイズで勝利をもぎ取った。打線が決め手を欠く中で、毎回得点圏に走者を背負いながら、右腕は六回以降を無失点に抑えた。
今夏の奈良大会は背番号6。甲子園で初めてエースナンバーを与えられた。昨秋までは「打たれたらどうしようと外へ外へと逃げていた」。しかし、この日は「ピンチで左打者の内角へ投げ続けられた」と強気を貫いた。
「投げたら打たれるという状況だった」と小坂将商監督(46)が言う秋以降、中山は変わった。「自信をつけたかった」と週2、3回の200球の投げ込みと、練習後の200メートル走10本、坂道ダッシュを連日敢行した。
「マウンドにのみ込まれそうになった」という初聖地。でも、自分に負けなかった。チーム一丸でつかんだ執念星は、エースの成長の証しだった。