花巻東・佐々木麟太郎 3安打1打点で初戦突破 圧倒的存在感に大集結の日米スカウト陣も感嘆
「全国高校野球選手権・1回戦、花巻東4-1宇部鴻城」(8日、甲子園球場)
1回戦4試合が行われ、花巻東は歴代最多とされる高校通算140本塁打を誇る佐々木麟太郎内野手(3年)が、聖地初安打と初打点を含む3打数3安打1打点と大暴れした。2015年以来の初戦突破に貢献し、自身にとっても甲子園初勝利。NPB全12球団と大リーグ1球団のスカウトが視察する前で、圧倒的な存在感を示した。
初めての夏の聖地で、怪物のバットが火を噴いた。花巻東にとって8年ぶりの初戦突破に貢献した佐々木麟。「勝ちにこだわってやっていたので、まず初戦勝ち切れたことがよかった」。表情には出さずとも、胸中は安堵(あんど)感でいっぱいだ。
いきなり存在感を見せつけた。初回2死で迎えた第1打席で聖地初安打となる左前打をマーク。チームとして苦手意識があったサイドスロー右腕の攻略法を一打で示した。
最大の見せ場は四回無死二塁。「しっかり振って得点を返すことが自分の役目だと思っていた」。内角寄り低めの変化球を逆方向にうまくはじき返して、左前適時打で聖地初打点を挙げた。先制点にベンチも大盛り上がり。後続も続き、この回一挙3得点を奪った。
2度目の聖地で、成長した姿を示した。2年春のセンバツでは、市和歌山との初戦で4打数無安打2三振に抑え込まれ敗退。「常に後悔することばかりだったので、その思いを背負って練習には取り組んでいた」。当時はフルスイングしていたが、この日は3安打全て流し打ちと、磨いてきた対応力で打線をけん引した。
歴代最多とされる高校通算140本塁打を誇り、今大会ナンバーワンと言っても過言ではないスラッガー。NPBスカウト陣も熱視線を送り、巨人・水野スカウト部長は「スター性があって華がある。プロ野球に必要な選手。打球が速くて角度がつけばどこでも入る。厳しく攻められているけど、強引に行かずになんとか対応して確実に打ち返しているのもいい」と評価した。
幼少期はスタンドで聞いていた校歌も、初めて甲子園のグラウンドで歌った。ただ、1勝で満足することはない。「ここで戦わせていただいて非常に誇りに思うけど、ここからが本番。初戦を勝ったことはそれはそれで、またここから切り替えていきたい」。まだまだ甲子園で大暴れする。
【プロスカウト陣の佐々木麟太郎評】
阪神・葛西スカウト「夏の予選から反対方向の安打が多くて、広角に打てている。対応力が成長した」
ロッテ・榎スカウト部長「引っ張って打つのも見たかったけど、逆方向にもあれだけ強い打球を打てるのは魅力。広角に強い打球が打てるからあれだけのホームランも打っていると思う。打球の速さが高校生の中ではずばぬけている」
ヤクルト・橿渕スカウトグループデスク「強引に行かずに、冷静に考えて今やるべき事をちゃんとやっている印象。なかなかできないことですから、1年生から注目されている中で養ったものだと思う」
DeNA・八馬アマスカウトグループリーダー「振る力は高校生の中でずばぬけている。スイング力があるのは魅力」
中日・松永スカウト部長「こういう舞台でヒットが打てるのは良いんじゃないか。変化球に柔らかく対応ができている。もともと飛ばす力もあるけど、うまさもある」
ロイヤルズ・大屋スカウト「大柄だけど器用。ホームランを打てる魅力もあるけど、チームバッティングもしっかりできる」