明豊 亡き友へ1勝ならず涙 主将・西村「県大会から何度も助けてもらった」

 アルプススタンドで応援した吉川孝成さんの母・久美さん(左)と父・聖哉さん
 昨年11月に亡くなった吉川孝成さんの練習着を持つ悠之輔さん(左)と写真を持つ寛太さん
 北海に敗れ、涙を流す明豊ナイン(撮影・中田匡峻)
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 「全国高校野球選手権・1回戦、北海9-8明豊」(10日、甲子園球場)

 大分大会初の夏3連覇を成し遂げて甲子園に乗り込んだ明豊は、十回タイブレークの末、逆転サヨナラ負けを喫した。

 亡き友にささげる1勝とはならなかった。九回2死から同点に追いつかれ、延長十回にサヨナラ負け。主将の西村昇太外野手(3年)は「県大会から孝成には何度も助けてもらった。結果で恩返しできなかったのは悔しい」と涙を流した。

 昨年8月下旬に行われた練習試合で、捕手を務めていた吉川孝成さんの鎖骨付近にファウルチップが直撃。意識をなくし、約3カ月後に息を引き取った。亡き友の思いも背負って臨んだ大舞台。何度も孝成さんの力をもらった。三回2死一、三塁の場面では、孝成さんのバットを使っている3番・柴田廉之助内野手(3年)が右前適時打を放って先制に成功。1点を追う五回には孝成さんのバッティンググローブを着用した4番・西村が一時逆転となる2点適時三塁打を放った。

 エース・中山敬斗投手(3年)は、「去年の甲子園で投げた後に孝成から連絡が来て、いろいろ話して、次は一緒に甲子園に立ちたいと言われた。一緒に立てたらと思った」と、笑顔の孝成さんと、打席に立っている孝成さんの2枚の写真をポケットにいれて試合に臨んだ。この日は先発し、6回途中10安打5失点で降板。勝利には導けなかったが、「ピンチもあったけど、粘れたところは孝成のおかげ」と感謝した。

 アルプススタンドには孝成さんの家族が駆けつけた。弟の悠之輔さん(9)と寛太さん(7)は、自作した部員と同じユニホーム柄のTシャツをきて、応援。孝成さんの思いを背負って戦うナインに母・久美さん(44)は「うれしくて涙しか出ない」と話した。

 負けてはしまったものの、最後まで全力で戦った姿は必ず孝成さんも見ているはずだ。主将の西村は「孝成がいなければこの甲子園という夢舞台にも立てていなかったですし、自分がキャプテンとしてまとめたんじゃなくて、孝成がチーム全員をまとめてくれた。ここの夢舞台でプレーさせてくれて、そして一緒にプレーしてくれてありがとうという言葉をかけたい」と最大限の感謝を語った。

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