中日・柳 9回121球で無安打無失点も快挙達成ならず 立浪監督「野手陣は貸し」
「中日ドラゴンズ2-1広島東洋カープ」(13日、バンテリンドーム)
延長十回、投手交代が告げられると、場内にどよめきが起きた。中日・柳は9回を無安打無失点で降板し快挙達成は成らず。打線が遅ればせながら、その裏に石川昂、宇佐見の連続本塁打でサヨナラ勝ちを収め、「チームが勝ってうれしい」と歓喜の輪の中で喜んだ。
九回のマウンドに向かう直前、場内には湘南乃風の「黄金魂」が鳴り響いた。「この前、命日があって。今朝ふと思って、球団の人に僕が九回行くことがあれば、かけてくださいとお願いしました」。2021年8月3日に亡くなった木下雄介さんの登場曲だ。「2人でよく『僕が八回まで投げて、九回を木下さんで』と話していました」と同期入団だった右腕の力を借りた。
ここまで3勝8敗とさえない成績がうそのような快投だった。出塁を許したのは2失策と3四死球の5人。1点さえあればノーヒットノーラン達成だった。昨年も同じように大野雄に援護がなく完全試合達成を逃した。立浪監督は「野手陣は柳に貸しをつくった」と残念がる。
「七回くらいから(無安打は)意識はしていました。前回がふがいなかったので、きょうにかける思いは強かったです」。121球の熱投に白星がつかなくても、柳自身はすがすがしい表情だった。