阪神OB田尾安志氏 近本死球巡る騒動に「山本投手の気持ちは僕らは分かる」岡田監督の怒りは「刺激しない態度ができれば…」
阪神OBで楽天監督も務めた野球解説者・田尾安志氏が4日、YouTube「TAO CHANNEL」を更新。3日のヤクルト戦で死球を受け途中交代となった阪神・近本を巡る騒動について言及した。
田尾氏は「プロ野球の場合、僕らの時代は狙って当てるピッチャーもいました。けれども今はそういう野球はないと思っています」と前置き。その上で「7-0で勝ち負けが決まってるのに、何であんな球を投げるんだと思う人が多かったんだろうな」とファンの心情にも理解を示した。
一方で、6年目にして初めて1軍登板が増えているヤクルト・山本の気持ちにも触れ、「山本投手をかばうわけではないが、実績を作ってないピッチャーにとっては、どういう状況であっても打たれてはいけない。あの場面、7-0と負けている状況で登板したわけですが、それでも山本投手にとっては、『ヒットを打たれてはいけない。1点もあげてはいけない』というような気持ちで対戦したんだと思います。デッドボールを当てたことはよくないが、山本投手の気持ちは、僕らは分かる」と、野球人としての見解も示した。
今季の阪神は死球により梅野が骨折し、近本も今回と同じ脇腹への死球で離脱した経緯がある。それらを踏まえた上で、岡田監督が試合後に「あきれるよなぁ」「そういうチームなんやろ」とヤクルトに対して怒りを隠さなかったことについては「カチンときてたのは高津監督の態度だったんじゃないでしょうか。あのゲームが終わった時点で、タイガースベンチのほうにいって謝りを入れれば、ここまで岡田監督がカリカリしなかったんじゃないかと思うんですよね」とした。
野球界のレジェンド・王貞治氏の名前も挙げ「僕なんかは王さんを意識していろんなことを考えます。王さんが今回の高津監督の立場だったらどういう態度を取っただろうかな。やっぱりゲームが終わったら、悪かったな、とおわびに行ったんじゃないかな」とし、「これから、こんなことは何度もあると思います。指揮官の態度、選手の態度で相手を刺激しない、悪かったという態度を相手に伝えることができれば、デッドボールでこれだけ大きくなることはないと思います」とも語った。
山本についてもう一度触れ、「山本投手もシュートが武器の投手なら、それを磨く、それしかない。『シュートを投げるな』と言ったら生きていけない投手はたくさんいる。そういう人たちにどう言ったらいいか、それはコントロールを磨け、しか言えない。プロ野球界で生きていくのは辞めてからも思うが、本当に大変なことだなと。いろんなところで感じる」と、言葉に実感を込めた。
田尾氏のYouTubeチャンネルでは阪神の試合を中心に解説、対談などを行っている。