国内FA取得見込みとなった西武・山川 獲得に動く球団はあるのか 西武の対応、本人の決断は?
日本野球機構(NPB)は11日、知人女性への強制性交の疑いで書類送検され、嫌疑不十分で不起訴処分となり、その後、球団から無期限の公式戦出場停止処分を科された西武・山川穂高内野手(31)について、4月10日の出場選手登録抹消が故障者特例措置の対象になることを明らかにした。
これにより、同27日の2軍戦に出場するまでの期間が1軍登録日数として加算されることから、残り17日となっていた国内FA権の資格取得条件を満たし、権利を取得する見込みになった。
NPBの保科パ・リーグ統括は、7月のオールスター後に西武球団側からNPBに申請があり、「資格者の公示日に国内FA取得選手として、山川選手が公示される見込みです」と話した。
2018、19、22年の3度、本塁打王を獲得した通算218本塁打の長距離砲。昨オフは球団からの4年契約の打診を断り、1億4000万アップの推定年俸2億7000万円の単年契約でサインしたが、今後、球団と山川は、どのような選択をするのだろうか。
今季開幕前には、ソフトバンクをはじめとする激しい争奪戦が予想されていたが、山川は5月11日のロッテ戦を最後に1軍出場から遠ざかっており、今後も1、2軍の公式戦に出場することはない。3軍戦や秋季教育リーグ(みやざきフェニックス・リーグ)への試合出場は禁止となっていないが、出場するかどうかは不透明な情勢だ。
まずは、西武球団が国内FA権を取得する山川を選手として契約する意思があるかどうかだ。球団は昨オフは権利取得を見込んで4年の長期契約を提示したが、今回の一件で球団イメージを著しく傷つけられており、6月の株主総会では、株主から「西武球団は12球団の中でも特に規律が厳しく、クリーンというイメージで世間は見ているという話もあります。こういう不祥事を起こしてしまって、起訴とか不起訴とかに関わらず、解雇というようなことも考えてもいいかと思いますけども、球団としてはいかがでしょうか」という意見が挙がるなど、ファンの抵抗感がいまだに根強く残っているのも事実。昨オフと同様、必要選手として長期契約を提示するのか、それとも今季は17試合の出場で打率・254、0本塁打、5打点にとどまっているだけに、大幅減の来季年俸を単年契約で提示するのか、はたまた他球団とのトレードを画策するのか、自由契約とするのか、複数の選択肢が考えられる。
また、獲得に動く球団があるとすれば、実戦勘の不足といった材料は大きなケガを負ったわけではないから、実戦を積むことで解消できるが、実績のある一流のプロ野球選手としての自覚を欠いた今回の一件で山川のイメージは激しく低下しており、そういった選手を獲得することがファンの反感を買わないか、企業イメージを損ねるのではないかなどの懸念材料がある。
一方、山川はどういった判断を下すのか。仮に西武球団が契約の意思を示した場合、水面下での下交渉はあるにせよ、今回の一件を考慮して無条件降伏の形を取るのか。それとも選手の権利としてFA権を行使して手を挙げた他球団との交渉の場に就き、来季は違うユニホームに袖を通すのか。
西武が契約の意思を示した場合、どんな形であれど残留するのが最も世論の反感を買わないと思われる。仮に山川が他球団に移籍する腹を固めた場合には、相当のバッシングを浴びる覚悟が必要だろう。最終的にどんな決着を迎えたとしても、批判を最小限に抑えるには、山川が世間やファンに対して、どういった形の「みそぎ」を見せるかが大事になってくると思われる。