「オリックス・バファローズ６－２千葉ロッテマリーンズ」（２０日、京セラドーム大阪）

　リーグ３連覇を達成したオリックスの頓宮裕真捕手（２６）がデイリースポーツに独占手記を寄せた。首位打者を争うほどに打撃開花した裏には、レッドソックスの吉田正尚外野手（３０）や同僚の森友哉捕手（２８）、西武の山川穂高内野手（３１）の存在があった。そして、中嶋聡監督（５４）への思いには熱がこもった。

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　正直、打率３割超えの驚きはありますね。でも、特に転機はないんです。センター返しに徹底して、バッティング練習をする。それを変えただけで、すぐにこれだけ結果も変わったんです。去年は練習でもホームランばかり狙っていた。でも、今年はセンター前とか右中間へ打つことだけを考えて。それが数字として変わったんで、センター返しに打つことは野球の基本だと、改めて感じましたね。

　教えてくれたのは山川さんです。一緒に自主トレをさせてもらって、めっちゃ教えてもらって。山川さんはいろんな選手の打撃練習をよく見ると言っていました。いい選手は、センターにずっと打ってると。その話を聞いて山川さんも中堅方向へ打ち始めたと言っていました。「１年間通してやってみ」と言われて、そこだけブレずにキャンプからやりました。ルーティンじゃないですけど、大事にして試合に臨むようにしてましたね。

　正尚（吉田）さんにはシーズンの序盤から「自分のベストスイングをすること」をとにかく言われました。だから、凡退しても自分のスイングができていたらいいと開き直れた部分もあります。結果に左右されず、自分のスイングができたら納得して、次の打席を迎えていました。正尚さんの穴を埋めたとは全く思っていません。正尚さんの成績は絶対にすごい。みんなで助け合ったからですね。

　森さんとチームメートになって、学ぶことも多かったです。野球に対する準備、試合前の準備は見習うことばかりです。休日に一緒に出かけても野球の話をします。僕は森さんの後ろを打つことが多かった。「今、どうなってる？」とかちょっとでも気づいたことがあれば言ってくれと言ってきてくれる。人の意見を大事にしてるんだなって。僕も困ったら見てくれてると思うんで、助かってます。

　普段は優しいんですけど、野球ではいい意味で優しくないと思います。野球に関しては本当に厳しいですね。最後に離脱してしまったのは悔しいんですけど、体調不良の時にお立ち台で僕の名前を言ってくれたのはうれしかったですね。

　今季は捕手に限らず、試合に出られたら何でもいいと思っていました。でも、一塁で出てる以上は打たないといけない。森さんも来ましたし、捕手をやりたいと今は思ってないです。ただ、捕手への気持ちを捨てたわけではありません。シーズン中の捕手練習は１、２回しかやってませんけど、実は捕手ミーティングに毎日出てるんです。捕手をする可能性もあるので、そこで投手に迷惑をかけないようにだけ考えていました。

　初めて優勝した時はフェニックスリーグに行っていました。宮崎のホテルで見てたんですけど、心の底からは喜べなかったですね。うれしさも全くなかった。去年はまだうれしかったですけど、今年はもっともっとそれよりうれしいですね。

　中嶋監督を胴上げしたいというのは、絶対にみんなが思っています。とにかく、選手の気持ちをめっちゃ分かってくれる。自分が２失策をして負けた次の日、試合前にめっちゃ励ましてくれて。ずっと一塁を守ってたんですけど、たぶん親心でＤＨにしてくれた。「もう忘れろよ。誰でもエラーはあるから」と声をかけてくれて、本当に選手のことを一番に考えてくれてるなと思います。

　ここからはＣＳ、日本シリーズもあるので、圧倒的に勝てるよう準備したいなと思います。首位打者は運もあると思います。でも、なかなかないチャンスだとも思います。最後までしっかり自分のスイングをしたいです。（オリックス・バファローズ捕手・頓宮裕真）

　◆頓宮　裕真（とんぐう・ゆうま）１９９６年１１月１７日生まれ、２６歳。岡山県出身。１８２センチ、１０３キロ。右投げ右打ち。捕手。岡山理科大学付、亜大を経て２０１８年度ドラフト２位でオリックス入団。プロ初出場初先発はプロ１年目の開幕戦だった１９年３月２９日・日本ハム戦（５番・三塁）。２３年は６月月間ＭＶＰ受賞。オールスターに初出場を果たした。