明暗分けた八回の継投策「田嶋は完封ペースだった」と評論家「珍しいほどにミスが出る日本シリーズ」で雰囲気作った湯浅

8回途中、ピンチで自らマウンドに赴く中嶋監督(中央)=撮影・北村雅宏
8回裏に連続適時打を許して交代となり、肩を落とす宇田川(96)=撮影・立川洋一郎
 8回、逆転を許しベンチでうなだれる山崎颯(左)と宇田川(撮影・山口登)
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 「SMBC日本シリーズ2023、阪神タイガース6-2オリックス・バファローズ」(2日、甲子園球場)

 終盤にドラマが待っていた。阪神が2点を追う八回に6点を奪って大逆転勝ち。3勝2敗とし、日本一に王手をかけた。一方、オリックスは痛恨の逆転負けで崖っぷちに立たされた。

 デイリースポーツ評論家・関本四十四氏は「先発の田嶋は7回で83球。完封ペースだった。立ち上がりは大竹のほうが良かったようにも思えたが、田嶋は直球に威力があり、尻上がりに調子が上がっていた」と、オリックスの継投策を振り返った。

 阪神は2点ビハインドの八回、前日復帰登板した湯浅が三者凡退でピシャリ。すると八回、オリックスは好投の田嶋から第3戦、4戦とベンチ外だった山崎颯にスイッチした。これが裏目に出てしまった。

 7回無失点と力投していた田嶋だったが、今季完投はなく、CSファイナルSのロッテ戦では六回に崩れて逆転負け。スタミナ面の不安もあり、中嶋監督は強力リリーフ陣で逃げ切りを図った。結果的には八回の継投策が勝負の明暗を分け、「阪神としては攻め手を欠き、田嶋を代えてくれて助かったと思う。岡田監督が八回に湯浅を投入して雰囲気を作りにいったことも功を奏した」と語った。

 オリックスの2番手・山崎颯は不運な内野安打に失策が絡んで無死二塁。糸原の左前打で無死一、三塁となると、近本には右前適時打を浴びて1点差に迫られた。犠打で1死二、三塁となったところで交代となった。

 3番手で登板したのは剛腕・宇田川。今季チーム初の3連投となったが、森下に2点三塁打を浴びて逆転を許した。さらに、大山の中前適時打で2-4。右腕は呆然とした表情を浮かべ、ショックを隠せなかった。4番手・阿部も阪神打線の勢いに飲み込まれ、坂本の2点三塁打でこの回だけで一挙6失点となった。

 この試合、七回には阪神がダブルエラーで2点目を失い、重い空気も漂っていた。一方、オリックスも八回は名手・安達が木浪の二塁内野安打を一塁へ悪送球。ミスでピンチを拡大したことも痛かった。

 関本氏は「珍しいほどにミスが出る日本シリーズ。バント処理、打球処理、両チームともペナントレースでは出ないような凡ミスが出ている。もちろん、球場の雰囲気もあるし、お互い投手がいいからミスができないという心理的な要素もあるだろうな」。その重い雰囲気を変えたのが、湯浅の投球だった。

 第6戦は一日空いて4日、オリックスの本拠地、京セラドーム大阪で行われる。

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