激闘の日本Sで見せた新たなカタチ 試合前のほっこり→壮絶な真剣勝負→敗者&勝者の気遣い 阪神&オリックスが見せた爽やかさ
阪神の38年ぶりとなる日本一で幕を閉じた日本シリーズ。関西に本拠地を置く両球団の戦いは、これまでと違ったカタチをのぞかせた。試合前、試合中、そして試合後。首脳陣、選手たちが見せた動きはスポーツの良さを感じさせた。
3勝3敗で迎えた第7戦。阪神がウオーミングアップを開始した三塁ベンチ前には杉本と若月の姿があった。西勇、梅野らと一緒に言葉をかわしながらストレッチを行い、第6戦で登板を終えた山本由伸は阪神の投手陣だけでなく、外国人のミエセスとも交流を図り、満面の笑みを浮かべていた。
またT-岡田と安達が恩師の岡田監督のもとへあいさつに出向くなど、“縁”も感じさせた。どこかほっこりさせる空気を漂わせるも、いざプレーボールがかかると手に汗握る真剣勝負に移った。岡田監督と中嶋監督の鋭いタクトに導かれ、阪神では湯浅の1球、森下の奮起、青柳の快投など。オリックスでは故障を押して出場した頓宮、杉本の活躍、森のファインプレー、宇田川&宮城の涙など心に刻まれたシーンは数え切れない。
そして試合後、中嶋監督は岡田監督に歩み寄って握手をかわした。グラウンドへのあいさつ後、拍手を送る姿も印象的だった。岡田監督は優勝記者会見で「正直なとこ、オリックスは3連覇してるチーム。これはヤバいというか、正直、相当強いチームだと思っていたんで」と敗者をたたえることを忘れなかった。
一昔前は試合前に選手同士が交流を図るのは御法度ともされていた。ただ両チームに色んな背景がある中、ファンの心に残る激闘を見せ、試合後も爽やかにたたえ合う。スポーツマンシップを存分に示した日本シリーズだった。