トライアウトでアピール成功の選手は-評論家の視点 野手筆頭は阪神・高山 投手では「使える」と即答した右腕ら複数選手を評価

 力投する吉田凌(撮影・佐藤厚)
 MAX152キロをマークした高田萌(撮影・佐藤厚)
 第3打席、高山は右前安打を放つ(撮影・佐藤厚)
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 「12球団合同トライアウト」(15日、鎌ケ谷スタジアム)

 NPBから戦力外通告を受けた選手らが再起をかける「12球団合同トライアウト」が行われた。

 参加選手は広島・薮田、ロッテ・福田、ソフトバンク・高橋純、阪神・高山、オリックス・吉田凌、巨人・田中豊ら59選手。過去の合格率約5%と狭き門だが、投手、野手ともに必死のプレーを繰り広げた。

 昼休憩も挟み、5時間にも及んだテストで、アピールに成功した選手はいたか。1-1から行われたシート打撃を全て見たデイリースポーツ評論家・関本四十四氏は「実戦感覚の面で野手には不利な時期だが、やはり高山はさすがだったな。しっかり調整して来た面も含めて、評価できるのではないか」と振り返った。

 阪神を戦力外となった高山は第1打席で右中間二塁打、第3打席は右前打。いずれも内角球をライナーで運び、持ち味を発揮した。

 7打席で2四球も選び、関本氏は「今日はいいフォームだったよな。これを維持できることが課題のひとつだとは思うが、今年で30歳。左の代打を含め、補強ポイントにはまる球団は手を挙げるかもしれない」とした。

 野手では他に、ロッテ・福田がフェンス直撃の一打。DeNA・田中俊は2安打。ロッテ・西川は左越えに一発を放った。関本氏は福田について「各球団、実力は分かっているだろうから、34歳という年齢をどう見るか。今は若手への切り替えも早い」と、年齢面で持たれる印象を不安視した。

 投手では午前組では2三振を奪ったオリックス・吉田凌、152キロを計測した楽天・高田萌、打者3人から3三振を奪ったヤクルト・吉田喜を評価。「吉田凌は使いやすい投手で独特のスライダーがある。3球投げて出し入れができればいいが、今日はコントロールも良かった。今日も真っすぐ、スライダーでも三振を取っていたし、使い道はありそう」とした。

 速球が魅力の高田萌は「フォークはあるけどカーブがない。スライダーを誰かに指導してもらったら、伸びる可能性はある」と、ポテンシャルに期待。フェニックス・リーグにも参加していた吉田喜については「直前まで実戦を積んでいただけあって、光る内容だった。最速144キロで球威が物足りない面を他球団がどう見るか。ただ、NPBでなくても声はかかりそう」とした。

 午後組で、真っ先に名前を挙げたのは日本ハム・井口。最速146キロで松井聖、速水、中山翔を三者凡退。松井はスプリット、中山は119キロのカーブで三振に仕留めた。関本氏は「井口は使える。コントロールもしっかりしているし、変化球で空振りも取れる。現役ドラフトの候補にしても良かったんじゃないか」と高評価。また、3者連続三振の巨人・太田も「フォークを操れる。真っすぐは141と思ったより出ていないが、環境が変わってスピードが増せば、あのフォークは面白い」とした。

 実績組ではDeNAの左腕・田中健に言及。田中健は一発も浴びたが、「肘を手術して12カ月から14カ月、逆に肩を休ませることができているから、まだ34歳より若い。左であのカーブも健在だし、球団によっては貴重な存在になるかもしれない」とした。

 過去22年間で1414人が受検し、合格したのは77選手。それでも、わずかな可能性にかけて全力プレーをみせる選手の姿には、満席で埋まった客席から大きな拍手が送られた。

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