日本ハムの伊藤大海投手（２６）が来季のテーマを力感８割の脱力投法とした。「力んで投げていい思いをしたことがない。矛盾しているけど１０割で投げた全力投球よりも、８割で投げた方が（球速が）出ていたり（球威が）強いイメージになるように持っていきたい」と明かした。

　全力投球しても力んでは意味がない。身をもって体験した。「思い切って投げてどうよりかは…。新庄さんがいつも言ってますが、四球はすごく点につながる」。力を入れ過ぎることが制球を左右した現実。「四球での１点とヒットでつながれての１点だと全然チームの雰囲気も自分のモチベーションも変わってくる。四球をもっと減らして、より球数を少なくして、長いイニングをって思ってます」と話した。

　ヒントは侍ジャパンで共に戦った山本由伸の投球にあった。「（山本）由伸もそうですし、いい投手はシーズンを通してパフォーマンスが変わらない。波が本当に少ないと思う。そこを目指して、イニングも含めてしっかりやっていきたい」。常に８０％。常に安定した投球。理想とするエース像を目指して、たどり着いた答えだった。

　新庄監督からすでに来季の開幕投手として指名された。新庄監督は「（伊藤の趣味の）釣りに行く回数が減るんじゃない？」と話していたが、「結構減ってるかもしれないっすね。去年のオフに比べると」と笑う。これまでのオフは一日中釣りに興じたこともあったが、このオフは午前中で切り上げる。開幕投手、エースの自覚の表れだ。

　「集中して釣りしたいと思って時間を短くしてるっすね。ダラダラ続けるんじゃなくて」と言う。ピッチングと釣りの共通点を問われて「その一投にかける」。そして「（釣りも）駆け引きで。ここぞってところを決められるように。ピッチングも」と笑った。

　このオフは「８割投球」を実現できるための体作りに没頭。鍛え上げた肉体に、決意をにじませた。「自分のできることをこの時期にしっかり増やして、これはできる、これはできないを明確にしたい」。己を知り尽くして、来季の飛躍に臨む。