大谷翔平の恩師、花巻東・佐々木監督が35分間熱弁「高校は人生の滑走路」「なぜと疑うことが大事」2回目の「甲子園塾」で講師役
日本高校野球連盟は8日、大阪市内の中沢佐伯記念野球会館で本年度2回目の「甲子園塾」を開講し、初日の前半部分の座学が公開された。
特別講師として花巻東の佐々木洋監督が初めて参加。大リーグで活躍する大谷翔平や菊池雄星ら、多くのプロ野球選手を輩出した名将が「指導者としての私の考え方」を題に熱弁を振るった。
近年、東北の高校野球は発展を遂げているがその要因として「選手の意識が変わったこと」と「指導者が変わったこと」を挙げた同監督。「私自身もずっと人や環境のせいにして言い訳してきた。でも今は東北の方で冬の間、雪で練習できないことを言い訳する人はいない。成功の方法は数通りしかないが、言い訳は100万通りある」と話した。
また花巻東で実際に行っている「おきて作り」についても説明。毎年生徒が入れ替わる中、自身が生徒へ伝えたと思っていたことが伝わっていなかった経験を糧に細かい部分まで文章にして、自身の考えを示している。おきては「花巻東の捕手」、「花巻東の監督」、「花巻東の練習試合」など野球に関することはもちろん、「花巻東の自転車の乗り方」、「花巻東の携帯電話」など私生活にまで細かく及んでおり「高校は人生の滑走路。甲子園に出ることが目標ではない。2年間半どの滑走路に入ってどう飛び立つかが大事」と語った。
また監督をする上で経営で学んだことが生かされていることを明かし「『なぜ』と疑うことが大事。われわれ東北の指導者は伝統と経験論ばかりでやっていた。手法ではなく、目的を考えないといけない」と常識に捕らわれない重要さを説いた。35分間の講義を終えると大きな拍手が送られた。
「甲子園塾」は2008年から行われており、これが29回目の開催。47都道府県から選出された若手指導者27人が参加した。この日の座学では先日、U18高校日本代表監督に就任した小倉全由氏や審判規則委員長の尾崎泰輔氏、佐々木監督らが講義を行った。貴重な話に参加者たちは真剣に耳を傾けた。
今回の「甲子園塾」は10日まで行われる。