山川穂高「マイナスからのスタート」 涙のソフトバンクFA移籍 異例の発表2時間後会見→第一声謝罪
西武から国内FA権を行使した山川穂高内野手(32)が19日、ソフトバンクと契約合意に達し、福岡市内のペイペイドームで入団会見を行った。出来高を含め、4年総額16億円(金額は推定)程度の大型契約で、背番号は「25」に決定。「マイナスからのスタート」と、涙ながらに移籍決断の経緯を語り、新天地での再起を誓った。
晴れ晴れとした雰囲気はなく、第一声も謝罪の言葉から始まった。異例ずくめとなった入団会見。黒のスーツとネクタイで壇上に立った山川は「私の不祥事により、全ての関係者の方々に多大なるご迷惑をおかけした」と頭を下げた。54分間、笑みは一切なかった。
球団はこの日、午前11時に入団を正式発表した。2時間後にホテルではなく、小規模の会場で会見と異例の対応。山川は5月に強制性交の疑いで書類送検され、8月に嫌疑不十分で不起訴処分となった。それでも世間の目は厳しく、球団には批判の言葉も集まった。
「マイナスからのスタート。新人の気持ちで頑張りたい」と語った山川は、移籍を決断した背景についても説明。「三笠GMから絶対に優勝したい…戦力になってほしいと、言っていただいた言葉が胸に刺さりました」と続けた。その上でプロ入りから10年間、在籍した西武に感謝と後悔の思いを口にした。時折、言葉を詰まらせ涙を流しながら語った。
「本当に楽しい時も苦しい時も支えてくれましたし、応援してくれました。感謝しております。西武ファンの方には、自分からあいさつしたかったのですが、ここまで時間がかかってしまった。すごく悔やんでいます」
一度は引退も考え、妻、母と進退を巡り家族会議の場も持ったが、現役続行の背中を押された。「もう一度、頑張ってみよう、と。妻はいつも、頑張ろうねと。移籍についても、任せると言ってくれた。もう、裏切るようなことは絶対にしない」。変わらぬ家族のサポートも、前を向いて戦う要因になった。
涙、相次ぐ謝罪の言葉に、誠実な取材対応…再起の思いあふれる会見ではあったが、ファンの理解を完全に得られたとは言い難い。自身も「野球で結果を出して、許してもらえるとは思ってない」と言う。それでも4年間のチャンスが用意された。全てを受け止めた上で戦っていくことも使命か。異例ずくめの入団会見。区切りではあるが、終わりではない。本当に厳しい戦いは、ここから始まる。
◆山川 穂高(やまかわ・ほたか)1991年11月23日生まれ、32歳。沖縄県出身。176センチ、103キロ。右投げ右打ち。内野手。中部商から富士大を経て、2013年度ドラフト2位で西武入団。本塁打王3回(18~19、22年)、打点王1回(22年)、最優秀選手1回(18年)、ベストナイン3回(18~19、22年)。23年WBC日本代表。