イチロー氏が「感動しました」智弁和歌山が直伝“幻のプレー”実現 2死一、二塁での常識破りの戦略「悔しいけど高校生が体現。年を重ねるのも悪くない」

 元メジャーリーガーのイチロー氏が24日、TBSで放送された「イチローと3人の高校生」に出演。20年から精力的に続けてきた高校生への指導の中で、イチロー氏の教えを元に人生を歩む3人の高校生にスポットを当てた番組。イチロー氏は指導した智弁和歌山が直伝の“幻のプレー”をやってのけたことに、感動したことを明かした。

 イチロー氏が教えたのは、同氏も「一度も見たことがない」と話した2死一、二塁の局面で遊ゴロを打った際、一塁ランナーは二塁に滑り込まずに全速で駆け抜けるというもの。スライディングは減速があることから、全速で駆け抜け、アウトを免れた場合、二、三塁間で挟まれることになるが、その隙に得点の二塁ランナーに生還の好機が生まれるというもの。イチロー氏は「難しい相手ならその1点で決まる可能性がある」と、教えた。

 練習を繰り返した智弁和歌山ナインは、21年の夏の甲子園をかけた和歌山大会の市和歌山との決勝で、同プレーを実戦。2点リードの八回裏2死一、二塁の場面で、打者・大仲の打球は遊ゴロ。一塁ランナーは全速で二塁を駆け抜けてセーフで挟殺プレーに。その間に二塁ランナーが生還し、試合を決定付けた。大仲は「普通だったら理解できないプレー。相手が反応できない時間があった」と、振り返った。この夏、智弁和歌山は夏の甲子園を制した。

 イチロー氏は「僕も一度も見たことなかった。理屈としてそうなってるし、やらなきゃいけない。僕も見て『えっ!』ってなったんですよ。『えっ!』てなったあとに『それそれそれ』ってなった。感動しました。あれを具体的にみせてくれたのは大きい。ちょっと悔しいんだけど、自分でできなかったから。そういう思いを高校生が体現してくれた。年を重ねるのも悪くないなと思いました」と、噛み締めるように語った。

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