巨人は２０日、来月１日から始まる春季キャンプのメンバーを発表した。阿部慎之助監督（４４）はこの日、母校中大・茗荷谷キャンパスで行われた「監督就任を祝う会」に出席。秋広優人外野手（２１）に強い言葉で意識改革を促した。「自己犠牲、献身」をテーマにする新生ジャイアンツでは、「遅刻厳禁」など自立、協調を求めていく方針。厳しさを前面にチーム改革を急ぐ。

　母校で開催された盛大な激励会に、阿部監督の表情は引き締まった。「感謝の一言。もうひと重責、増したね」。また１つ、戦う理由ができた。キャンプを目前に控え１、２、３軍のメンバー振り分けを発表。その中で、秋広…の名前に鋭く反応した。

　「最初は３軍にしようかと思った」。阿部監督には壇上で見せていた笑顔がなかった。昨季、デビューから一気に定位置を確保。将来性豊かな２１歳に球団内外で期待も高い。１軍キャンプは自然の流れだが、指揮官の口を突く言葉は厳しい。

　「遅刻が２回くらいあったみたいでね。（昨年１１月のＮＰＢ）アワードと球団行事。やっぱり遅刻するって、一番信頼を失うから」

　問題視したのはグラウンド外での行動。「誰か、特大の目覚まし時計を買ってあげてよ」と笑いも交えたが、“３度目”は許されない。「ダメならすぐ隣（２軍）に、都城（３軍）に行ってと言うかも」。途中入れ替えは「激しくしたくない」とも言うが、輪を乱す行動があれば心を鬼にして断を下す覚悟だ。

　前日のスタッフ会議でもコーチ陣には「自己犠牲」をテーマに方針を示した。求めるのは個ではなく、巨人軍としての覇権奪回だ。「技術がうまくなるのって難しいから、人としての成長を監視します」。チームの顔になるべき逸材。規律と品格が、秋広を成長させると信じている。