日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長は２３日、フリーエージェント（ＦＡ）の人的補償について「前から言っているように補償自体を撤廃してほしい」と主張した。都内で行われた日本野球機構（ＮＰＢ）との事務折衝後、取材に応じた。

　今オフ、国内ＦＡ移籍の人的補償を巡って騒動が起こった。西武から国内ＦＡでソフトバンクに移籍した山川の人的補償として一部報道で和田の名前が挙がったが、甲斐野が西武に移籍。森事務局長は「制度的なもので起きるべくして起きた」と指摘する。人的補償の対象から除外される２８人のプロテクトについて「当該球団しか知り得ない。実態が分からないというのが一番問題」との見解を示した。

　今後は、１２球団の春季キャンプ地を訪問した際にヒアリングを行う意向だ。「当該選手にも聞いてみます」。各球団の選手会役員や実際にＦＡ権を行使して移籍した経験がある選手らからも話を聞いていく。

　既にＮＰＢが、現行のＦＡについて制度の見直しを本格的に検討していることが判明。人的補償については撤廃も選択肢に入っている。１２球団の中で賛否両論があり、撤廃の場合は新たな補償制度の構築が不可欠となる。２９日にはＮＰＢと日本プロ野球選手会が、保留制度検討委員会を開く。今後の動向に注目が集まる。