星稜 誓った石川県勢初V 吉報直後に黙とう、芦硲主将「当たり前のことが当たり前じゃなくなった。今野球ができることに感謝」

 第96回選抜高校野球大会(3月8日抽選、同18日開幕・甲子園)の選考委員会が26日、大阪市内で開かれ、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市にある日本航空石川など32校が選出された。昨秋の神宮大会王者・星稜は、石川県勢初優勝を目指す。

 吉報を聞いた瞬間、星稜ナインに笑顔はなかった。直後に、地震で犠牲となった人たちに向けて約1分間の黙とうを実施。被災地の思いを背負って聖地に立つ。

 「われわれにできることを一生懸命やろうと、スタートしました」と山下智将監督(42)。金沢市にある同校のグラウンドにはひびが入り、室内練習場の一部も破損するなど地震の被害に見舞われた。4日に予定されていた練習初めも1週間延期。「生徒たちは全員無事でみんなの元気な姿が見られた」と胸をなで下ろしたところから、今年の活動が始まった。

 地震発生時、主将の芦硲晃太外野手(2年)は大阪の実家に帰省中だった。ニュースで石川県の被害を確認すると、すぐさま野球部のグループラインで安否確認のメッセージを送信。「自分ができることはすべて任せてください」と山下監督に直訴し、自らの意思で動いた。

 被害の大きい能登半島方面にいた生徒もいたが、同日中に全員の安全を確認。「今はしんどいけど、野球ができるなら野球をしっかりがんばろう」とあえてポジティブな言葉をかけ、地震によって部員の士気が落ちないように努めた。

 昨秋は神宮王者となり、県勢初となる春の頂点も狙えるチーム。聖地で躍動すれば被災地に勇気を与えることができる。「まだ大変な思いをして生活している方もたくさんいる。とにかく一生懸命やるしかない」と山下監督。芦硲主将は「当たり前のことが当たり前じゃなくなった。今野球ができることに感謝して、必ず全国制覇をしたい」と力を込めた。紫紺の優勝旗を持ち帰り、復興を後押しする。

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