巨人・オドーアは「体重移動少なく軸でしっかり回っていく中距離ヒッタータイプ」谷佳知氏が打撃フォーム分析
巨人に新加入したメジャー通算178本塁打のルーグネッド・オドーア外野手(30)=前パドレス=が28日に行われた練習試合・日本ハム戦(沖縄セルラー)で実戦デビューを果たし、2打席目に中前打を放った。MLBでシーズン30本塁打以上を3回記録している強打者は、阪神との開幕戦で始まるシーズンでどんな打撃を見せるのか。デイリースポーツ評論家の谷佳知氏が打撃フォームを連続写真から分析した。
オドーアのスイングを最初に見た時、「コンタクトがうまそうだな」という印象を受けた。メジャー通算178本塁打という経歴からもっとアッパー気味の荒々しいスイングをイメージしていたが、初実戦で放った中前打はレベルに近い形で振れていて、柔らかさも感じた。
連続写真を見ていくと、体重移動が少なく、軸でしっかりと回っていくタイプの打者だとよく分かる。
①の時点で既にトップの位置にバットが入っていて、そこから②で大きく左足を上げてタイミングをとる。打ちにいく③~④にかけて頭の位置が前に突っ込むとスイングは安定しないが、頭の位置が動かず、⑤では踏み込んだ左足と体重を残している右足でしっかりと「割れ」が作れている。
打った球が外寄りだったので、⑥では少しバットが遠回りするような軌道を描きそうになっているが、体の内側からしっかりとバットを出せている。インパクト直前の⑦でも体が前に突っ込んでいないし、⑧~⑩の大きなフォロースルーも申し分ない。
スイング全体を見て、特に悪いところはないし、むしろ好印象を受けた。バットが内側から出るので、逆方向にも打ち返せるだろう。メジャー時代の映像もいくつかチェックしたが、スイングの様々な要素から言うならば長距離ヒッターというより、中距離ヒッターという方が適しているかもしれない。
NPBで外国人打者が成功するためには、打席での「対応力」が鍵になる。低めの際どいところ、ボールゾーンにしっかりと投げ切ってくる切れの良い変化球、特に落ちる球をいかに見極めることができるか。崩されずに我慢して対処できるか。オドーアは積極的に初球からどんどん振っていくタイプのようなので、より対応が求められる。
3番か6番あたりにオドーアがはまれば、巨人打線の破壊力はさらに増す。その可能性は十分に秘めたバッターだと思う。
◆ルーグネッド・オドーア(Rougned Odor)1994年2月3日生まれ、30歳。ベネズエラ出身。右投げ左打ち。内野手。11年にレンジャースと契約。14年にメジャーデビュー。ヤンキース、オリオールズを経て昨年はパドレスでプレー。メジャー通算1154試合で打率・230、178本塁打、568打点。17年WBCベネズエラ代表。